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ロードアイランド州の政治
ロードアイランド州の選挙人の数は、4人です。1988年以降、民主党の勝利が続いています。共和党の地盤も残っており、2016年では内陸部の郡がトランプ共和党を支持しました。
ロードアイランド州は、アメリカの歴史を物語る場所
ロードアイランド州の面積は50州で最小ですが、歴史の中で果たした役割は大きいとされています。
時は1636年、マサチューセッツで厳格に政教分離を唱えるあまり、権力者に嫌われて追い出されたロジャー・ウィリアムズ。彼が信仰の自由を求めてたどり着いたのがロードアイランド州で、切り開いた町をプロビデンス(神の摂理)と名付けました。ここにカトリックやユダヤ、女性活動家などが自由を求めて集まったのです。
独立心が強いロードアイランド州
こうした動きを周囲の植民地は気に入らず、彼らは一時期、同胞から攻撃されるほどでした。しかしこのため、より一層独立心が強くなります。
イギリスからの独立を他に先んじて宣言し、フランスと協力しながら独立戦争を戦いました。独立戦争後は、どんどん大きくなる政府を警戒し、13植民地のうち最後に合衆国入りを決めるほどの反骨心を見せたといいます。屈強で頑固、だが一本筋が通ったアメリカの東北なのです。
アメリカ産業革命のゆりかごとなったロードアイランド州
こうした気質は、産業面ではアントレプレナー気質となりました。アメリカ初の紡績機械を導入して、アメリカ産業革命のゆりかごとなり、軍需産業の拠点としてますます力を蓄えていきました。
けれどやがて、アメリカの工場は南の方へと移って行きます。伝統的な繊維産業は、第一次大戦時に軍のテント製造を一手に引き受け、得意のジュエリー産業は1990年代後半まで生き残りました。しかし本格的なものづくり基地としての役割は他所に譲り、ロードアイランド州は現在、サービス業や観光、医療などに重きを置いています。
ロードアイランド州を知るキーワード
ロードアイランド州のキーワード:スレーター紡績工場
ロードアイランド州ポータケットにある、アメリカ初の紡績工場にして産業革命始まりの地。英国人のスレーターが、母国の門外不出の機械技術を持ち出して建設しました。
ロードアイランド州のキーワード:インディペンデント マン
ロードアイランド州議事堂に作られた自由と独立を象徴する像。政教分離と信仰の自由を求め、ロードアイランド州を開拓したロジャー・ウィリアムズの精神の表れです。
ロードアイランド州のキーワード:ナラガンセット湾
ロードアイランド州を切り込むように横たわる北大西洋の入江。長い歴史を持つインディアンのナラガンセット族が周辺に暮らしていました。
ロードアイランド州のキーワード:ロードアイランドデザイン学校
1877年に創設された美術大学の名門中の名門。工業デザイナーだけでなく起業家も輩出しており、卒業生にAirbnb創業者がいます。
ロードアイランド州のキーワード:クレセント公園の回転木馬
ロードアイランド州イーストプロビデンスには、1895年に作られたアメリカ最初期の回転木馬が現存しています。レトロすぎる雰囲気に幽霊が出るともっぱらの噂です。
ロードアイランド州のキーワード:ブレイカーズ
三角貿易で栄えたロードアイランド州の港町ニューポートにある歴史的建築物群の1つで、鉄道王ヴァンタービルト家が建てた邸宅です。70の部屋を備えています。
ロードアイランド州のキーワード:コーヒーシロップ
インスタントコーヒー、砂糖、コーンシロップを混ぜたもの。これに牛乳を入れて飲むコーヒーミルクがロードアイランド州のソウル・ドリンク。
ロードアイランド州のキーワード:アメリカズカップ
ヨットレースの最高峰アメリカズカップ。この大会で132年の間、優勝し続けたニューヨークヨットクラブの拠点がロードアイランド州のニューポートにあります。
ロードアイランド州のキーワード:ハワード・フィリップス・ ラヴクラフト
ニャルラトホテプとその仲間たちが活躍する、クトゥルフ神話を生み出した宇宙ホラー小説の鬼才。生まれがロードアイランド州プロビデンス。触手を持つ神々はロードアイランド州の海の生き物がモデル!?
ロードアイランド州のキーワード:カブトガニ
生きる化石の異名と青い血を持つカブトガニが、ロードアイランド州沿岸部や沖合のブロック島に生息しています。毎年遅い春から初夏にかけて産卵します。
ロードアイランド州のキーワード:特産 ロードアイランドレッド
繁殖力の強い家禽で、秋田県の比内地鶏を誕生させるにあたり、掛け合わせ役として使われていました。ロードアイランド州の鳥にも指定されている赤い鶏。
ロードアイランド州の著名人
ロードアイランド州の著名人:宗教的指導者 ロジャー・ウィリアムズ
政教分離の理想をかなえようとロードアイランド州プロビデンスの町を切り開きました。英国に一時帰国した際にジョン・ミルトンと友達になっています。(1603?~1683)
『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!
“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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