更新日: 2024年7月3日
アメリカは移民が作りあげる多民族国家。その出身地の変遷と時代背景を知る
自由の国アメリカは、各国からの移民たちが自由と仕事を求めやってきたことに始まります。
多民族国家アメリカを形成している移民たち。彼らはどのような理由があって海を渡ってきたのでしょうか。そのさまざまな出身地の移民のうち、アジア系・ヒスパニック系からの移民が増加している時代背景とは。
目次
アメリカの移民の歴史と経緯①~ヨーロッパ人がアメリカに来た理由と時期
アメリカの多様な人種構成を端的に物語るのが、ニューヨーク市です。
白人の割合は42.7%と半数以下。ヒスパニックとラテン系が29.1%、黒人が24.3%で、アジア系は13.9%と少なくなっています。インディアンおよびアラスカ先住民が0.4%、ハワイ先住民およびその他太平洋の島々の人が0.1%です(※ヒスパニックは黒人と白人を含みます。そのため割合の合計は100%を超えます。)。
最初にやってきたアメリカの移民は、インディアン
アメリカに最初にやってきた移民は、氷河期に陸続きだったベーリング海峡を渡ったインディアンです。彼らはそれぞれ独自の文化を発展させながら、北米から南米へと散っていきました。今日彼らがニューヨーク市にほとんどいないのは、後にヨーロッパ人に、徐々に追いやられたからです。
そのヨーロッパの移民たちが、主に北西ヨーロッパから植民地開拓者としてやって来たのは1600年代。最も多かったのがイギリス人で、さらにドイツ人、オランダ人と続きました。この動きと前後してカナダとミシシッピ川流域(ルイジアナ)にフランス人が、西海岸南部にスペイン人が入っていきました。
アメリカの移民の移り変わり
アメリカの移民の流れは1760年から1815年にかけて、ヨーロッパとアメリカとの間で起きた断続的な戦争のために停滞しました。ただし、これは一時的なことに過ぎませんでした。
その後1914年に第一次世界大戦が始まるまで、移民の移住は増加し続けます。特に第一次世界大戦が近づくと、南欧や東欧からの移民が多くを占め、イタリア、オーストリア・ハンガリー、ロシアの人々が多かったのでした。
その大きな理由は18世紀から始まり、約150年間にわたり進んだ産業革命です。伝統的な農民が、急速に発達する都市と工場にひかれ北米へ向かったのです。
移民のピークは、ヨーロッパでの飢饉の時期
移民が増加した1番目のピークは1840年から60年にかけて。ヨーロッパでの飢饉と人口増が原因で、一説には毎年約500万人が故郷を離れたためです。特にジャガイモ飢饉で国家存亡の危機に立たされたアイルランドからの人々が多かったといいます。
他には1848年のドイツ革命の失敗で、国外へ逃れたドイツ人の多くがアメリカを目指しました。続く1880年代には、東欧でユダヤ人の迫害が横行したため、彼らもやはりアメリカへ身を寄せました。
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!