大阪の水上バスは観光目的で使用中
有名な大阪の水上バスといえば、大阪水上バスが運営する「アクアライナー」があげられます。1983年の大阪城築城400年祭に合わせて運航がスタートしたアクアライナーは、大阪城港、淀屋橋(よどやばし)港、八軒家浜(はちけんやはま)船着場、OAP(大阪アメニティパーク)港の4港を乗り場とし、大川を航行する人気の船です。2007年からは小型少人数の「アクアmini」も土日祝限定で運用が開始されました。
水陸両用のバスも運行
もう1つの「とんぼりリバークルーズ」は一本松海運(いっぽんまつかいうん)が運航。日本橋(にっぽんばし)から浮庭橋(うきにわばし)まで9つの橋をめぐることで人気を集めています。そして日本水陸観光の「大阪ダックツアー」は、なんと水陸両用のバス。天満橋から桜ノ宮(さくらのみや)の造幣局付近を経由し、水上に入ります。天満橋付近までめぐったのち、地上ルートで出発地へ戻ります。
かつては通勤専用の水上バスも存在した
これら主要な路線を見るとわかるように、大阪の水上バスはすべて観光用です。かつては通勤用のアクアライナーが運航していたものの、2005年に廃止されています。
大阪の水上バス通勤の実用化は?
ただ、東京五輪が決まった2010年代の後半、地上交通の大混雑を予想した東京都などで水上交通がにわかに注目されはじめたことで、大阪でも電車・バスの代替手段になるかとネット上で議論されることもありました。
しかし、現時点で水上バスを通勤の足として使うにはハードルが少々高くなっています。悪天候に弱く、便数や運送可能な人数も少ないからです。さらに乗船運賃も割高で、運航ダイヤの安定性でも電車とバスに軍配が上がります。
通勤通学に使われる市営渡し舟
大阪市南西部は運河や河川が集中し、そのうえ船の往来も盛んだったことから架橋が難しく、古くから渡船が庶民の足となっていました。それを1907年に大阪市は市営化。100年以上たった今でも運営は続いています。
市営化当時に29あった渡船場は、現在「千本松(せんぼんまつ)渡船場」「千歳(ちとせ)渡船場」「船町(ふなまち)渡船場」「木津川(きづがわ)渡船場」「落合(おちあい)上渡船場」「落合下渡船場」「甚兵衛(じんべえ)渡船場」「天保山(てんぽうざん)渡船場」の8つとなりました。自転車も乗船可能で、航路は道路扱いのため乗船料は無料です。
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どの道路が、なぜ混むのか?大阪の道路網の現状
徹底比較! 大阪の私鉄(阪急電鉄と阪神電鉄、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道) ほか
Part.3:大阪の歴史を深読み!
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Part.4:大阪で生まれた産業や文化
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<コラム>
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