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大阪の新幹線駅開業への道のり:新大阪駅が現在の場所になったのはなぜ?
新大阪駅が現在の場所に決定するまでには紆余曲折がありました。最大の課題は、大阪は東海道新幹線の始発終着駅となるため、広大な用地が必要だったことです。
候補地は4カ所ありました。まず、①「大阪駅に併設する案」と②「梅田貨物駅(北区)付近に新設する案」は、どちらも道路交通のさらなる混雑が懸念され、かつ繁華街の中心で空き地がないことと、阪急梅田駅や私鉄の線路があるため再開発の余地がなく不採用となりました。
大阪の新幹線駅開業への道のり:新幹線は淀川を2度渡るのを避けたかった
また、梅田地区に新幹線を乗り入れる案は、いずれ開通する山陽新幹線にとって不都合でした。在来線(京都線、神戸線、宝塚線)のように淀川を2度渡らざるを得なくなるからです。その場合、山陽方面への所要時間や建設費が余計にかかることもあり、却下されたのでした。
大阪の新幹線駅開業への道のり:新大阪駅新設の候補地から外れた東淀川駅
このほかに、戦前の「弾丸列車計画」(東京~下関間を9時間で結ぶ高速鉄道の敷設計画)で国鉄が買収した③「東淀川駅(淀川区)の北方」も有力候補に挙がっていました。
ですが、周辺に民家が密集していたため、広大な用地を確保できませんでした。さらに都心部から約4.5㎞離れた場所にあることが難点となり、候補地から外されてしまいます。
大阪の新幹線駅開業への道のり:新大阪駅の建設場所がついに決定
最終的に採用された案が、④「宮原操車場周辺」です。宮原地区も都心部から遠くに位置していましたが、東淀川駅周辺と比べ、より多くの開発の余地があるデルタ地帯でした。
決め手となったのは、操車場の一部が用地に利用できることと、山陽方面への延伸を想定した場合、淀川を2度渡らなくてもすむ場所であることだったといいます。
また、宮原操車場付近に設置する案にも2種類あり、宮原操車場を移転してその跡地に建設するという案と、宮原操車場の東側のデルタ地帯に建設する案でした。操車場の移転は代替用地を見つけるのが困難なため、後者の案が選ばれたとみられます。
新大阪駅は開業に伴い東海道線、地下鉄御堂筋線と連絡。前者は高架駅、後者は地上駅となりました。地下鉄御堂筋線は東海道線の西側を走っており、新幹線ホームの下をくぐる形になっています。
また、JR西日本の車両基地である宮原総合運転所は組織改正により、2012年に網干(あぼし)総合車両所宮原支所となりました。
大阪の新幹線駅:「幻の鉄道」建設計画が再浮上
阪急電鉄は2002年、淡路駅-新大阪駅間と新大阪駅-神崎川駅間の事業許可の廃止を申請。事業許可が有効なのは新大阪駅間-十三駅の区間のみとなりました。これもいずれ廃止になるであろうとみられていましたが、近年、同区間のみ実現する案が浮上しました。
阪急電鉄は2020年2月、新大阪駅-十三駅間の新線「阪急新大阪連絡線」と、十三駅-JR北梅田駅間の新線「なにわ筋連絡線」との一体整備を前提として関係各社と協議をはじめると発表しました。
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