台湾発展に欠かせなかった八田與一
八田與一技師は、日本統治時代の台湾を語る上で欠かせない人物とされています。東京帝国大学を卒業後、24歳の若さで渡台し、台湾総督府の技師として数々の水利事業を手がけました。
烏山頭ダムと嘉南大圳が知られていますが、それ以外にも台北(たいほく)の上下水道整備や高雄(たかお)築港、桃園(とうえん)台地の灌漑、台南(たいなん)市の上水道工事などに関わりを持っています。
八田與一は今でも台湾の人々に慕われる
烏山頭ダムのほとりには八田與一技師の銅像があります。八田與一技師の銅像は珍しい座像のスタイル。この像は1931(昭和6)年に造られたものですが、戦時下、そして国民党政府の一党独裁時代は倉庫に隠されていました。これが地元の人々によって1981年にもとの場所に戻されています。
現在、命日の5月8日にはこの銅像の前で毎年欠かさずに、慰霊祭が行われています。周囲は手入れが行き届いており、公園のような雰囲気。八田與一技師の銅像に訪れる人は多く、献花が絶えません。
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【著者】 片倉佳史(かたくらよしふみ)
台湾在住作家。武蔵野大学客員教授。台湾を学ぶ会代表。1969年生まれ。
早稲田大学教育学部教育学科卒業後、出版社勤務を経て台湾と関わる。台湾に残る日本統治時代の遺構や建造物を記録するほか、古写真や史料の収集、古老や引揚者の聞き取り調査を進める。 著書に『台北・歴史建築探訪』、『台湾旅人地図帳』、『台湾に生きている日本』、『古写真が語る台湾 日本統治時代の50年』など。
台湾事情や歴史秘話、日台の結びつきなどをテーマに講演をこなすほか、ツアーの企画なども行なっている。
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