台湾の地震と関係する36の活断層
台湾の地震は東部(花蓮・台東)と西南部(台中・南投(なんとう)・嘉義)、東北部(基隆(きいるん)・宜蘭(ぎらん))で起きるものに三分されます。
頻繁に発生するのは東部ですが、震央(震源上の地表部)が陸地上にあることは多くはありません。大きな被害が出るのは直下型地震で、これは西南部内陸の断層で起きます。現在、台湾島内には36の活断層が特定されており、いずれも脊梁(せきりょう)山脈に沿って南北に縦走しています。
台湾島の西側内陸に偏る大きな地震
実際に、過去、死者1千名以上となった震災はすべて島の西側内陸で起きており、たとえば、1906(明治39)年3月17日に発生した「梅山地震」は嘉義郊外の小梅(こうめ)(現・梅山(メイサン))の断層を震源とし、1935(昭和10)年4月21日に発生した「新竹(しんちく)・台中州大地震」も新竹南方30㎞にある獅潭(したん)断層で起こっています。
記憶に新しい「台湾中部大地震」
1999年9月21日の深夜に起きた「台湾中部大地震」は、台湾では921大地震、集集(しゅうしゅう)大地震と呼ばれていますが、これもまた震源は南投県集集であり、内陸で発生しています。これはフィリピン海プレートの押し込む力がたまり、活断層に作用したものとされています。
台湾を襲った主な地震
台湾における地震観測の歴史
台湾における地震研究は日本統治時代に始まりました。新竹・台中州大地震の際には東京の中央気象台地震研究所から今村明恒(いまむらあきつね)が派遣され、調査を実施しました。このときには建築構造学者の佐野利器(さのとしかた)も加わり、綿密な調査を行おこなっています。台湾総督府はこれを機に、宜蘭、新竹などに地震観測所を設けることになりました。
日々進む地震研究と地震対策
現在、台湾では高密度な強震観測網を整備しています。これは全島をカバーし、観測ポイントは700を数えることができます。台北盆地だけでも40以上のポイントがあり、その密度は世界一といわれているほどです。近年は海底ケーブルによる地震観測システムも採用されています。
地震の速報システムも高いレベルを誇り、発生から10秒以内で警報音がなります。台湾ではすべての自治体に拠点が設けられており、場所に即した警報が受けられます。
耐震構造の研究も進み、台湾高速鉄路には地震を観測した時点で即座に列車が停止する安全装置が組み込まれています。
軽微なものを含めれば毎日のように地震が観測される台湾。その研究は常に進められ、対策が練られているのです。
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【著者】 片倉佳史(かたくらよしふみ)
台湾在住作家。武蔵野大学客員教授。台湾を学ぶ会代表。1969年生まれ。
早稲田大学教育学部教育学科卒業後、出版社勤務を経て台湾と関わる。台湾に残る日本統治時代の遺構や建造物を記録するほか、古写真や史料の収集、古老や引揚者の聞き取り調査を進める。 著書に『台北・歴史建築探訪』、『台湾旅人地図帳』、『台湾に生きている日本』、『古写真が語る台湾 日本統治時代の50年』など。
台湾事情や歴史秘話、日台の結びつきなどをテーマに講演をこなすほか、ツアーの企画なども行なっている。
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