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台湾の民主化までの道のり:李登輝時代進んだ民主化
外交的には孤立を強いられ、社会も自由を奪われた状態ではありましたが、経済面では急成長を遂げ、「台湾の奇跡」といわれる高
度成長期を迎えました。これと連動するように、言論の自由を求める声が高まり、各地でデモが発生しました。
1987年7月15日には38年に及んだ戒厳令が解除されました。翌年1月には蒋経国が死去し、国民党主席に本省人の李登輝(りとうき)が就任します。
李登輝時代に台湾は大きな変化を迎えます。支配者層には依然として外省人勢力が居座りましたが、李登輝は国民党の内部から改革を実行し、民主化を推進。これは「静かなる革命」ともいわれています。1996年からは直接投票による総統(大統領)選挙も実施され、民主化の進行はさらに加速しました。
台湾の民主化までの道のり:一度は民主推進派が政権をとるも残り続ける中国にのみ込まれる不安
2000年には民主進歩党の陳水扁(ちんすいへん)が総統となり、政権交代が実現しました。しかし、2008年には国民党の馬英九(ばえいきゅう)が政権を奪還し、中国に寄り添う政策を続けました。中国にのみ込まれる不安と、台湾の主体性が損なわれるのではという危機感は大きくなり、2014年3月、国民党政権が中国と進めた「中台サービス貿易協定」の撤回を要求します。「ひまわり学生運動(太陽花学運-タイヤンホワシュエユン)」が起きました。
同年3月30日には大規模な抗議集会が開かれ、50万人もの民衆が集まったのです。
台湾の民主化までの道のり:2016年に民主派の女性総統誕生!
日本との関係は良好で、結びつきは年々強まっている。コロナ禍前の日台間の往来者数は年間700万人近くとなったほか、2011年3月の東日本大震災の際には台湾から253億円にも及ぶ義援金が送られました。
2016年の総統選挙では民主進歩党の蔡英文(さいえいぶん)が当選し、中華圏において初めて女性の国家元首が誕生しました。2020年に再選され、現在は民主主義陣営の一員として、日米両国との連係強化をはじめ、国際社会との関わりを深めています。
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【著者】 片倉佳史(かたくらよしふみ)
台湾在住作家。武蔵野大学客員教授。台湾を学ぶ会代表。1969年生まれ。
早稲田大学教育学部教育学科卒業後、出版社勤務を経て台湾と関わる。台湾に残る日本統治時代の遺構や建造物を記録するほか、古写真や史料の収集、古老や引揚者の聞き取り調査を進める。 著書に『台北・歴史建築探訪』、『台湾旅人地図帳』、『台湾に生きている日本』、『古写真が語る台湾 日本統治時代の50年』など。
台湾事情や歴史秘話、日台の結びつきなどをテーマに講演をこなすほか、ツアーの企画なども行なっている。
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