国風文化により変化した貴族の住居と服装
国風文化により、紫式部の時代(平安中期)までに貴族の住居と服装も大きく変化を遂げます。
建物は従来の朱色の柱に青瓦という唐風の建物から、白木造(しらきづくり)、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根へと変わっていきます。貴族の邸宅は寝殿(しんでん)とそのほかの建物を渡殿(わたどの)で連結した寝殿造が主流となりました。
国風文化の貴族の正装
貴族の正装も、唐の役人の衣服である朝服(ちょうふく)から、男性の衣冠束帯(いかんそくたい)、裳も唐衣(からぎぬ)(十二単(じゅうにひとえ)と呼ばれる女房装束)へと変わっています。
女性の正装は、身長よりも長い「袿(うちぎ)」の上に羽織るアウター「表着」を着て、目立つために模様や色に気を使い、おしゃれを競いました。
男性の正装は、下半身の下着にズボン下のような「大口袴」を履き、上半身には単(ひとえ)をまといます。その上に表袴と下した襲(がさね)を重ね、さらに袍(ほう)をまとうのがフォーマルな姿で、束帯と呼ばれました。
国風文化は文学にも大きな影響
9世紀に、漢文を日本語表記した万葉仮名を簡略化した平仮名、片仮名が用いられます。
平仮名は、日本人の感情や美意識の表現を可能にして和歌の発展を促すことになりました。
さらに平仮名で書かれた紀貫之(きのつらゆき)の『土佐日記』を皮切りに、『和泉式部日記』などの日記文学が生まれ、随筆(ずいひつ)『枕草子(まくらのそうし)』、『源氏物語』などの物語文学が生まれていくのです。
国風文化による文学の発展の流れ:漢字・漢文学
漢字・漢文学は、男性が主に公式な文書で使用していました。
中国の純粋漢文から、日本独自の和洋漢文へと発展し、漢文体日記・漢詩文が流行して、『和漢朗詠集』『小右記』『御堂関白記』が生まれました。
国風文化による文学の発展の流れ:仮名文字・ 仮名文学
仮名文字・仮名文学は非公式な文書で、主に女性が仮名文字を使用しました。
万葉仮名から平仮名・片仮名が誕生、女流文学の隆盛して、『源氏物語』『枕草子』『土佐日記』『古今和歌集』が生まれたのです。
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世界最古の長編小説ともいわれる『源氏物語』は、平安時代の宮廷を舞台に展開される主人公・光源氏と女性たちの恋愛模様を描いた物語で、今もなお多くの人に愛読される日本文学の古典です。ですが、全54帖という長編ゆえに最後まで読み通すのは大変困難な作品であることでも知られています。
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【第1部】紫式部とその時代
〔第1章〕平安時代の後宮生活
〔第2章〕紫式部の生涯
【第2部】 押さえておきたい『源氏物語』
〔第3章〕光源氏の青年時代―恋の旅路を歩む貴公子
〔第4章〕栄華の頂点―位人臣(くらいじんしん)を極めた光源氏
〔第5章〕宇治十帖―光源氏亡き後の世界
【監修者】竹内正彦
1963年長野県生まれ。國學院大學大学院博士課程後期単位取得退学。博士(文学)。
群馬県立女子大学文学部講師・准教授、フェリス女学院大学文学部教授等を経て、現在、國學院大學文学部日本文学科教授。専攻は『源氏物語』を中心とした平安朝文学。著書に『源氏物語の顕現』(武蔵野書院)、『源氏物語発生史論―明石一族物語の地平―』(新典社)、『2時間でおさらいできる源氏物語(だいわ文庫)』(大和書房)、『図説 あらすじと地図で面白いほどわかる!源氏物語(青春新書インテリジェンス)』(青春出版社、監修)、『源氏物語事典』(大和書房、共編著)ほか。
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