縄文時代の暮らし:縄文人の家族
縄文時代の人々は、どのような家族構成で暮らしていたのでしょうか?やはり同じ竪穴住居に同居したのが家族と考えられます。当時の厳しい環境においてひとりで生きることは難しく、ほとんどの人が竪穴住居で家族と共に暮らしていたと考えられます。
ではその人数を割り出してみましょう。同居する人数は住居跡の面積(㎡)÷3(人が手足を伸ばした面積)マイナス1(柱などが占める面積)という式で計算されます。この式に当てはめると、一棟の竪穴住居の住人は、おおよそ5〜6人だったと考えられます。
縄文時代の暮らしは、婿入り婚が一般的だった?
その家族形態については、草創期から早期にかけて女性の移動が少なかったと考えられることや、住居内からまとめて発見された家族とおぼしき数体の人骨で、熟年男性だけがほかの集団出身とされた千葉県の姥山(うばやま)貝塚の例などから、男性が婿に入って妻方に住む婿入り婚、あるいは男性の通い婚だったのではないかと推測されています。
縄文人の家族は両親とその娘と婿、子供たちという母系社会の構成が多かったのかもしれません。ただ東日本では、初期にどちらの実家に入るか選択的な傾向が見られ、後期中葉までに母系から嫁入り婚の父系社会へ移行したと考えられています。
縄文時代の暮らし:縄文人の世帯構成
姥山貝塚の竪穴住居跡からまとめて発見された、ほかの集団出身の熟年男性のものを含む5体の人骨(1号~5号人骨)を家族のものとする場合、このような家族関係が推測されます。
縄文時代の暮らし:ペットと家畜
縄文人も現代人と同じようにペットを飼っていました。現代はイヌ・ネコが主流ですが、ネコは当時まだ日本に入ってきてはおらず、ペットの多くがイヌだったとみられています。
イヌは野生のオオカミをルーツとしており、日本には西方から縄文人とともに日本列島へ渡ってきたと考えられています。縄文時代のイヌは、今のイヌより顔の凹凸が少ないのが特徴で、のちの弥生時代の頃に日本列島へ渡ってくる弥生犬と並び、柴犬などの日本犬の起源となりました。
縄文時代の暮らしに見える犬との絆
縄文人にとってイヌは狩猟の相棒であるとともに、ほかの動物や外敵から集落を守る番犬でもありました。縄文時代の遺跡から出土するイヌの骨は骨折の治療痕が見られるケースが多く、ケガをすれば治療を受けていたことがわかります。また、人間と同じように丁寧に埋葬されていました。
こうした出土例から、縄文人はイヌを家族同様の存在とみなし、最期まで大切に扱っていたことがうかがえます。しかし一方で貝塚から散乱したイヌの骨が出土する例もあり、儀礼などの目的のために食用にされるケースもあったようです。
縄文時代の暮らしのなかの縄文犬の系譜
イヌは縄文早期の頃から主に猟犬や番犬として利用された形跡があり、早くから人間との間に社会的関係を構築していました。現生の日本犬では柴犬のほか、弥生文化の影響の少ない北海道犬、琉球犬などが、縄文犬の特徴を強く受け継いでいるといわれます。縄文犬は、体高40㎝〜42㎝。耳は立ち耳。額から鼻の額段部分が平坦で、目がつりあがっていました。
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地図でスッと頭に入る縄文時代■一部内容抜粋
□南方の縄文人は、丸木舟で海を渡って日本にやってきた
□とある村は65歳以上が3割 縄文人は意外と長生き!
□東日本の縄文人はクリ、西日本はイチイガシが好物、クッキーやハンバーグも作った
□摂取カロリーは現代人並み! 1万年も戦争がなかったのは“豊かな”社会だったから
□縄文時代にも起こった大地震 鬼界カルデラの大噴火で壊滅した南九州の縄文文化
□縄文土器のデザインを見ると、地域ごとの交流のようすがわかる
□ストーンサークルは日時計? 縄文人が時間を認識していた可能性
□抜歯の激痛に耐えられれば、一人前の大人として認められた
□すでにガンに悩まされていた! 縄文人の病歴を示す三貫地遺跡の頭蓋骨
□DNA分析で判明! 縄文人は弥生人に駆逐されたのではなく、次第に混血していった
□縄文人にとってイヌは大事なパートナー(狩りに用い、死ぬときちんと埋葬した)
【監修】 山田康弘(やまだ やすひろ)
1967年東京都生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。現在、東京都立大学人文社会学部教授。専門は先史学。縄文時代の墓制を中心に当時の社会構造・精神文化について研究を行う一方で、考古学と人類学を融合した研究分野の開拓を進めている。
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