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縄文時代の食べ物:調理法

日本人の食習慣の原型は縄文時代にさかのぼるといわれています。縄文時代は旧石器時代以来の「焼く」という調理方法に加え、土器の発明によって、「煮る」、「長時間煮込む」という方法が可能になりました。

これによってドングリ類やトチの実などのアク抜きも可能になり、アク抜きした実の殻を凹石と叩き石や石皿と磨石を使って叩き割り、実をすりつぶして団子状にし、これを焼いたり煮たりして食べていたようです。また、煮炊きが可能になったことで、魚介や山菜を使った煮物やスープも作るようになりました

縄文時代の食べ物にはクッキーにハンバーグも?!

ほかにも貝を蒸したり、魚や獣の肉を串に刺して焼いたり、吊り棚に食材を置いて燻(いぶ)し、燻製にしたりと調理法はバラエティに富んでいました。
クルミやクリなどの粉からクッキーを、ミンチ肉と混ぜてハンバーグを作ったともいわれます。ヤマブドウや魚介のカキなどは生で食べることもあったようです。
味付けについては、があったほか、植物に関する知識が豊富な縄文人たちは、植物の組み合わせでどのような味になるかを知っていましたから、様々な組み合わせを試していたことでしょう。そのため、各家庭の味が生まれたのも縄文時代だったと考えられるのです。

縄文時代の食べ物は、こんなふうに調理します!

縄文時代は、旧石器時代以来の「焼く」という調理法に加え、土器によって「煮る」という方法が可能となりました。これによりドングリやトチの実のアク抜きができるようになり、調理法が多様化しました。

【煮る!】縄文土器の発明によって可能となった料理法。深鉢の土器を使って堅い肉を長時間煮込むことで柔らかくしたり、ドングリなどアクやえぐみの強い木の実を煮込んで食べられるようにした。

【焼く!】もっとも原始的な調理方法。炉や焚火で直接焼くほか、熱した石に肉を置いて焼く石焼も行なわれたと考えられている。

【燻す!】炉から出る煙を使って肉類を燻し、燻製にする。竪穴住居内でも吊り棚に置いて炉の煙で燻し、保存食となる燻製を作っていたと思われる。

【蒸す!】地面に穴を掘って材料を埋め、葉にくるんだ食べ物を置き、その上に草や葉、さらに土をかぶせて水をかけ、その上で火を焚いて蒸していた。

【潰してこねる!】クルミやクリ、アクを抜いた木の実は、すりつぶしてさまざまな料理に活用したと指摘されている。

縄文時代の食べ物:地域による異なった食料

縄文人はドングリなどの木の実を主食とする一方、シカやイノシシなどの獣肉を食べてたんぱく質を摂取していました。木の実が繁茂する地域や動物の生息域は全国均一というわけではないため、様々な地域差が生じていました。

縄文時代の食べ物、各地域で調達できた食料

【北海道】栄養価の高い海獣を食べて寒さから身を守っていました。
・アザラシ
北海道を中心にゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、ゼニガタアザラシ、クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシの5種が生息。肉は高タンパクで皮は水濡れに強い。
・ヒグマ
日本に生息する陸棲哺乳類でも最大の種。肉は旨味が強く全身を食べることができる。熊肉には身体を温める効果や、滋養効果が高いとされる。毛皮も防寒具や敷物などに利用できる。
・エゾシカ
北海道に生息するシカの一種でニホンジカの亜種。鹿肉は高タンパクながら脂肪が少なく低カロリーで鉄分が多く含まれる。
・アシカ
かつては日本列島の沿岸域に生息していた。

【本州】沿岸部では魚、獣、植物などをバランスよく摂取していたが、山間部では陸獣類に偏っていました。
・ツキノワグマ
日本においては本州などの森林に生息する。肉の特徴はヒグマと同じ。毛皮も高い汎用性を持つ。
・二ホンジカ
日本の常緑広葉樹林や落葉広葉樹林に生息する。皮のほか、角は骨角器にも利用された。
・イノシシ
縄文時代、シカに次いで最も多く食べられていた。
・イルカ
日本近海に生息。食用にされる一方、骨は狩猟具・漁具に利用された。
・ウサギ
開けた草原や森林、農耕地などに生息する。肉は柔らかく、毛皮も防寒用などに利用される。
・キツネ
沖縄・南西諸島以外の日本全域に生息。

東日本の木の実…クヌギ・クルミ・トチ
西日本の木の実…クルミ・シイ・カシ・クリ・ドングリ

【沖縄】海藻や魚介類を多く食べ、暑さに備えていました。

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地図でスッと頭に入る縄文時代■一部内容抜粋

□南方の縄文人は、丸木舟で海を渡って日本にやってきた
□とある村は65歳以上が3割 縄文人は意外と長生き!
□東日本の縄文人はクリ、西日本はイチイガシが好物、クッキーやハンバーグも作った
□摂取カロリーは現代人並み! 1万年も戦争がなかったのは“豊かな”社会だったから
□縄文時代にも起こった大地震 鬼界カルデラの大噴火で壊滅した南九州の縄文文化
□縄文土器のデザインを見ると、地域ごとの交流のようすがわかる
□ストーンサークルは日時計? 縄文人が時間を認識していた可能性
□抜歯の激痛に耐えられれば、一人前の大人として認められた
□すでにガンに悩まされていた! 縄文人の病歴を示す三貫地遺跡の頭蓋骨
□DNA分析で判明! 縄文人は弥生人に駆逐されたのではなく、次第に混血していった
□縄文人にとってイヌは大事なパートナー(狩りに用い、死ぬときちんと埋葬した)

【監修】 山田康弘(やまだ やすひろ)

1967年東京都生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。現在、東京都立大学人文社会学部教授。専門は先史学。縄文時代の墓制を中心に当時の社会構造・精神文化について研究を行う一方で、考古学と人類学を融合した研究分野の開拓を進めている。

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