縄文時代の道具:石器
狩猟にも弓矢が使われていましたが、漁労、採集もすべてを素手で行なうのは難しく、また料理を作る際にも道具は必要不可欠です。縄文人は土器のほかにも様々な生活に必要な道具を作り出していました。
旧石器時代から受け継がれた石器は、新しい石の加工技術によって、飛躍的に発達していきます。旧石器時代の細さい石刃(せきじん)(槍を作る部品として用いられる小さな石刃)に代わり石鏃やつまみの付いた万能ナイフである石匙(いしさじ)などが登場しました。とくに石匙は弓矢とともに縄文時代を代表する道具となり、列島各地の遺跡から発見されています。
また、石皿と磨石、凹石(くぼみいし)と敲石(たたきいし)など、植物を製粉する調理具のセットも開発されました。このほか、磨製石斧(ませいせきふ)は柄をつけて樹木の伐採や加工に、打製石斧は土掘具の刃先として用いられました。
【石皿と磨石、敲石】クルミなどの硬い殻を叩き割って実をすりつぶしたり、肉や魚をミンチ状にすりつぶすために用いられた。
【石匙】魚や肉を捌くために使われた石製のナイフ。
縄文時代の道具:骨石器
石器以外には、骨角器から釣り針や銛(もり)が作られました。
中期後半の遺跡からは、長さ10㎝以上の大型釣り針も発見されています。また、銛が刺さると銛頭が柄から離れ、銛頭に結んだ綱を引くことで銛頭が回転して獲物から外れなくなる仕掛けを施した回転離頭銛(りとうもり)も開発されています。また、すでにウルシも使われており、土器や木製品に塗っていたほか、接着剤にも使われたりしていました。
弥生人も使った縄文の銛
北海道で生まれた骨角器の銛針には、かかった魚を逃がさないための「かえし」が備えられていました。また、大型の獲物用には、綱を引くと銛頭が獲物の体内で回転する仕組みが施されており、こうした銛が形を変えながら南方へ伝播し、やがて古墳時代に鉄製の銛へと進化しました。
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三内丸山遺跡をはじめとする17遺跡で構成する「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録され、縄文ブームが再来している。本書は、意外な面白さを秘めた縄文時代を知るための入門書。縄文時代はどんな時代だったのか、縄文人はどのように暮らしていたのか、不思議な形の土器や土偶の意味は何かなど、日本文化の原点である縄文時代のヒミツ、最新事情を地図や写真、イラストとともに紹介。
地図でスッと頭に入る縄文時代■一部内容抜粋
□南方の縄文人は、丸木舟で海を渡って日本にやってきた
□とある村は65歳以上が3割 縄文人は意外と長生き!
□東日本の縄文人はクリ、西日本はイチイガシが好物、クッキーやハンバーグも作った
□摂取カロリーは現代人並み! 1万年も戦争がなかったのは“豊かな”社会だったから
□縄文時代にも起こった大地震 鬼界カルデラの大噴火で壊滅した南九州の縄文文化
□縄文土器のデザインを見ると、地域ごとの交流のようすがわかる
□ストーンサークルは日時計? 縄文人が時間を認識していた可能性
□抜歯の激痛に耐えられれば、一人前の大人として認められた
□すでにガンに悩まされていた! 縄文人の病歴を示す三貫地遺跡の頭蓋骨
□DNA分析で判明! 縄文人は弥生人に駆逐されたのではなく、次第に混血していった
□縄文人にとってイヌは大事なパートナー(狩りに用い、死ぬときちんと埋葬した)
【監修】 山田康弘(やまだ やすひろ)
1967年東京都生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。現在、東京都立大学人文社会学部教授。専門は先史学。縄文時代の墓制を中心に当時の社会構造・精神文化について研究を行う一方で、考古学と人類学を融合した研究分野の開拓を進めている。
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