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縄文人の体格:身長が低くても手足が長く頑丈だった

縄文時代の人々は、どのような外見をしていたのでしょうか。これについては、出土した6000体以上の人骨からある程度知ることができます。

平均身長は男性約162㎝、女性は約149㎝と比較的低く、筋肉質の頑丈な体形で、相対的に上腕と脛骨(けいこつ)(すねの骨)が長かったようです。顔は顔高が低く丸顔。彫りが深くて鼻が高くエラが張っていました。歯は上下が合わさるタイプで、デンプン質の食が多かったのか虫歯が多く見られます。

最新の科学分析から、縄文人は東南アジア、シベリアの人々と同じルーツを持っていたようです

一概に縄文人といっても、時代や地域で体格が異なる

ただし縄文時代は長いことから、身体的な特徴は時期や地域によっても異なります。

前期頃までの縄文人は比較的華奢(きゃしゃ)だったようですが、中期以降に栄養状態が向上すると大型化して、骨格も頑丈になります。

一方、地域でみると沿岸部の縄文人の方が、山間部の縄文人より頑丈な体型でした。これは沿岸部の方が魚介類をはじめ栄養価の高い食料を多く摂取することができたためと考えられます。
また、大型の環状集落や貝塚が作られるようになる中期以降は、がっしりとした体型の縄文人が一般的となりました。

濃い顔・がっちり体型の縄文人

濃い顔・がっちり体型の縄文人

縄文人の身体的な特徴をまとめてみましょう。

輪郭:頬骨が左右に張り出し、エラが張っている。
:濃くて太い。額の形状が直線的。
:二重が多かった。
彫り:深く、鼻が高い。
:上下の前歯の先端がぴったりかみ合う。
:厚い。
体毛:濃い。

現代人の平均身長:(男性)172㎝ (女性)159㎝
縄文人の平均身長:(男性)162㎝ (女性)149㎝ ※縄文人の身長は 最新の研究による。

縄文人の男女と現代人の男女については、個人差はあるが、縄文人には腕や足の筋肉が発達した人が多く、上腕と脛骨(すねの骨)が相対的に長いとされています。

縄文人の言葉:ハイブリッドな縄文語があった!?

縄文時代の文字は確認されていませんが、縄文人は現代人と同じホモ・サピエンスですから、私たちが話しているような言葉を使っていたと思われます。また、土器に見られる特徴的な文様や、土器の形の分布の仕方を見ると、地域単位でまとまることが多いことから、恐らく方言のような地方差もあったと考えられます。
一方で、縄文人は広範囲にわたる交易を行なっていましたので、共通する言語があったことも確実視されます。このような共通言語の文法や単語にどのようなものがあったのか不明ですが、縄文文化とつながりの強いアイヌや、古琉球(こりゅうきゅう)の言語に、その一部が残されているとも想定されています。

縄文語は、北方と南方の言葉が混成して生まれた

縄文語の起源ですが、縄文時代に先行する旧石器時代には、北東アジアや東南アジア系の人々が日本列島域に来ていたことは間違いないでしょうから、これらの地域で使われていた言葉が入ってきていたことは確実です。
また、縄文文化の要素をみると、竪穴住居は北方系、高床式の建物は南方系ともいわれています。このようにアジア各地の要素が縄文文化には見られることから、おそらく縄文語も南北アジア諸地域の言葉が混交して成立したと想定できます。

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地図でスッと頭に入る縄文時代■一部内容抜粋

□南方の縄文人は、丸木舟で海を渡って日本にやってきた
□とある村は65歳以上が3割 縄文人は意外と長生き!
□東日本の縄文人はクリ、西日本はイチイガシが好物、クッキーやハンバーグも作った
□摂取カロリーは現代人並み! 1万年も戦争がなかったのは“豊かな”社会だったから
□縄文時代にも起こった大地震 鬼界カルデラの大噴火で壊滅した南九州の縄文文化
□縄文土器のデザインを見ると、地域ごとの交流のようすがわかる
□ストーンサークルは日時計? 縄文人が時間を認識していた可能性
□抜歯の激痛に耐えられれば、一人前の大人として認められた
□すでにガンに悩まされていた! 縄文人の病歴を示す三貫地遺跡の頭蓋骨
□DNA分析で判明! 縄文人は弥生人に駆逐されたのではなく、次第に混血していった
□縄文人にとってイヌは大事なパートナー(狩りに用い、死ぬときちんと埋葬した)

【監修】 山田康弘(やまだ やすひろ)

1967年東京都生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。博士(文学)。現在、東京都立大学人文社会学部教授。専門は先史学。縄文時代の墓制を中心に当時の社会構造・精神文化について研究を行う一方で、考古学と人類学を融合した研究分野の開拓を進めている。

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