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岡田嘉子は理想国家を夢見てソ連へ亡命

同一座で出会ったのが、演出家の杉本良吉日本共産党の革命家です。国家による弾圧と赤紙を恐れていた杉本に、岡田嘉子はソ連への亡命を提案します。演劇大国・ソ連は、自由で平等な理想国家だと信じていたのです。雪深い樺太の地をひた走り、2人は北緯50度線の国境を越えました。岡田嘉子が35歳のときでした。

しかし、実際のソ連はスターリンの粛清時代。越境後すぐに拘束され、2人は引き離されます。厳しい取り調べに疲弊した岡田嘉子は、スパイであるという虚偽の自白をし、禁固10年の刑に。杉本は銃殺されてしまいます

2年間の獄中生活を経て釈放された岡田嘉子は、モスクワ放送局でアナウンサーとなり、同業の滝口新太郎と結婚。50歳でソ連最大の演劇大学に入学します。後年は日本とロシアを往来しながら舞台演出、テレビや映画への出演、手記の執筆などを行い、モスクワで89年の生涯を閉じました。

岡田嘉子(おかだよしこ)のプロフィール

女優
生まれ:広島県広島市
生没年:1902[明治35]年4月21日~1992[平成4]年2月10日
出身校:私立女子美術学校(現・女子美術大学付属高等学校・中学校)

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時代を切り拓いた日本の偉大な女性100人
現代を生きるヒントが見つかるニュー偉人伝

いま世界中で人種差別問題が噴出し、ジェンダーの壁を取り払った社会的マイノリティの権利拡大、女性のさらなる社会進出の背中を押す動きが加速。世界の女性が経済・政治など多彩な場面で活躍する一方、日本の女性の活躍度の低さは「ジェンダー・ギャップ指数」などにも表れています。

本書は、社会を変革してきた日本の女性偉人100人を、歴史の流れに沿うのではなく、生き様をテーマ別にして紹介するこれまでにない画期的な構成。
日本編では、女性にとっての新しい道を開拓した人、男性中心の世界で努力を重ね結果を出してきた人、世界を舞台に活躍する人らが登場。彼女たちの生き方、考え方を通して、現代を強く生きる知恵・マインドを学びます。

どこか生きづらさを感じている女性、多様性のなかを生きる子供たちに、勇気をおくる一冊です。

監修者:ヤマザキマリ

漫画家・文筆家。東京造形大学客員教授。1967年東京生まれ。
84年にイタリアに渡り、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史・油絵を専攻。比較文学研究者のイタリア人との結婚を機にエジプト、シリア、ポルトガル、アメリカなどの国々に暮らす。

2010年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。2015年度芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞。2017年イタリア共和国星勲章コメンダトーレ綬章。著書に『スティーブ・ジョブス』(ワルター・アイザックソン原作)『プリニウス』(とり・みきと共著)『オリンピア・キュクロス』『国境のない生き方』『ヴィオラ母さん』『たちどまって考える』『ヤマザキマリの世界逍遥録』『ムスコ物語』など。

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