佐柳島に伝わる「両墓制」という1人に2つの墓
佐柳島の長崎集落の海岸沿いに小石を積み上げた墓地があります。ここは遺体を埋葬する墓(埋め墓)のある場所です。その隣で集落に近い場所にも同じ人の霊を祀る墓地(参り墓)があります。つまり、1人につき2つの墓が存在するのです。
島の人々は、集落に近い墓地をお参りします。これは遺体は穢(けがれ)であるから近寄らず、霊を祀る墓を別に設けるという考え方にもとづく「両墓制(りょうぼせい)」という風習です。
南の本浦(ほんうら)集落にも海沿いに埋め墓があり、参り墓は丘の上の乗蓮寺にあります。両墓制は近世に近畿地方を中心に見られましたが、火葬が基本となった現在は、佐柳島をはじめいくつかの場所に限られ、また佐柳島でもこの風習は消えつつあります。
佐柳島の埋め墓は日本最大規模
海沿いの墓地は風雨にさらされ流されたり、失われてしまうこともありますが、かつて島の人々はそれほど気にしませんでした。ただし現在は、現存する日本最大規模の埋め墓となったことで、香川県の有形民俗文化財に指定されて保護されています。
佐柳島では人間より猫の数が多い!
そんな独特の景観が残る佐柳島は、人間よりも猫の数が多いのです。もともとネズミ駆除のために飼われていましたが、猫好きの島民が数匹の猫を連れてきたことで増えていったといいます。少子高齢化が進み、人間より多くなりました。
近年は有名な写真家が島を訪れて猫を撮影したり、テレビ番組で紹介されたことで、全国に知られるようになりました。猫への餌えさやりができることから「猫とふれあえる楽園」となって観光客の誘致に貢献したものの、私有地への立ち入りや糞尿の処理などをめぐる問題も浮上しています。
佐柳島にはイノシシも多数生息
ちなみに、佐柳島には猫のほかにイノシシも多数生息しており、民家の石垣が崩れたり、畑の作物を荒らしたりと被害が増加しています。イノシシは島から島へと泳いで渡ってきており、自治体は駆除対策に追われています。
多度津は少林寺拳法発祥の地
多度津町は少林寺拳法の発祥の地です。少林寺拳法は、1947年に宗道臣(そうどうしん)により、「人づくりの道」として創始された日本の武道で、桃陵公園の近くには本部道院の金剛禅総本山少林寺があります。少林寺拳法世界連合によると、世界36か国に普及しており、中学校の体育で必修となった9種目の武道にも少林寺拳法が含まれています。
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