御嶽山の過去の噴火形跡と成り立ち
記憶に新しいのは、2014(平成26)年9月に水蒸気噴火を起こした御嶽山です。岐阜と長野の県境にあり、乗鞍火山列の南端にある標高3067mの成層火山です。
この御嶽山は約40万年前までの火山活動で生まれた古期御嶽火山と、30万年の休止期を経て活動再開した新期御嶽火山からなります。古期の噴出物は玄武岩や安山岩、デイサイトなどの溶岩などで構成されます。新期は約9万年前から活動し、前半に活動した継母岳(ままははだけ)火山群による流紋岩やデイサイトの堆積物と、後半に活動した摩利支天(まりしてん)火山群による安山岩の噴出物が主体となり、現在の火山体の中央部を形成しています。
過去にはプリニー式噴火という大規模噴火を繰り返し、約1万年前にも複数のマグマ噴火が発生した形跡があります。
御嶽山の2014年の噴火被害
しかし、有史以来は休止期に当たり、死火山だと認識されてきました。文書上の記録は1979(昭和54)年の水蒸気噴火が最初であり、「死火山・休火山」という枠組みを消す原因となりました。2007(平成19)年にも小規模の水蒸気噴火をしますが、冬季のため被害はありませんでした。その後、2014(平成26)年の噴火が起こります。
御嶽山は標高2000m近くまで自家用車で入れて、ロープウェイもあるため幅広い層に人気があります。それが仇となり、秋の行楽シーズンの正午近く、山頂に最も人が集まる時間に噴火しました。膨大な数の噴石(最大で直径60cmほど)が放出され、死者・行方不明者63名という戦後最悪の火山災害を招きました。
御嶽山の噴火は今後も突然起こる可能性が高い
この2014(平成26)年の噴火は、1979(昭和54)年の火口列の南側で突然起こりました。前兆はほぼなく、約2週間前の一時的な火山性地震と、噴火10分前の火山性微動と傾斜計の変化のみで、噴火警戒レベルは1。当時の観測体制は脆弱で、外部機関の地震計が故障しているなど不十分でした。
これ以降、気象庁は噴火警戒レベル1を「平常」から「活火山であることに留意」へと改め、火山噴火予知連絡会の検討会は「噴火速報」を導入しています。しかし前兆なく突然噴火する可能性は高く、予知は難しいのが実情です。
日本の火山は19世紀まで、各世紀に数回の大噴火を起こしてきましたが、20世紀以降は100年近くも静かな状態です。これは長く続かないと言う学者も多く、岐阜県内の火山も「今は大人しい」だけかもしれません。
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