トップ > カルチャー >  四国 > 徳島県 >

剣山スーパー林道はダートの走りを楽しむオフロードライダーの聖地

オフロードライダーの人気を最も集めているのは、未舗装部分が林道の約7割を占める点です。ただ未舗装道は大雨のたびに路面が荒れ、維持にはコストがかかるのが実情。この対策として起点のある上勝町は十数年かけコンクリート舗装を進め、町内の20㎞のほとんどの舗装を終えています
このため砂利道対応のバイクや車に乗ったライダーの中には、起点からスタートせず途中の国道や県道から出入りし、延々と数十㎞続くダート(未舗装)の走りを楽しむ人も多くいます。

剣山スーパー林道の建設と林道の位置づけ

もともとこの地域は全国でも有数のスギの産地として知られるなど森林資源は豊富でした。しかし公道、林道ともに整備が立ち遅れており、せっかくの資源が活用できない状態が長く続きました。
昭和30年代からの高度経済成長で木材価格が高騰したこともあり、木材増産を目的に全国で林道開設の重要性が叫ばれ始めました。1962(昭和37)年に策定された第一次全国総合開発計画では、山村地域の森林開発と都市部との格差是正の手段として「多目的かつ高規格な林道の開設」が盛り込まれ、2年後に制定された林業基本法では従来の「木材搬出のための短期間の工作物」から「永続的な施設としての林道」に改める考え方が強く打ち出されました

スーパー林道整備の選定基準

スーパー林道はこうした経緯を踏まえ、1965(昭和40)年度からスタートした特定森林地域開発林道事業の中で推し進められました。スーパー林道という名称は正式ではないものの、これまでの林道にない多目的性や長い延長、高規格性を表す通称として国会審議のやりとりでも使われ定着しました。
選定基準は①林野面積が1万ha以上で開発が著しく遅れている②林野率がおおむね85%以上③都道府県行政でも開発の重点地域、の3点。全国46地域の候補の中から、剣山など23地域が選ばれました。

剣山スーパー林道の工事期間と費用は当初予定から大きく嵩んだ

剣山林道の工事は1972(昭和47)年度に始まり、当初は6カ年で終える予定でした。しかし冬期の積雪のほか地すべりや山腹崩壊、台風による集中豪雨被害などが相次ぎ結局、1985(昭和60)年度までの14年を費やしました。この間、労務・資材費の高騰もあり、総工事費は当初見込みの4倍以上に膨らみ、全国23地域のスーパー林道では最高額となりました。

「剣山スーパー林道マップ」を作成し、イベントも数多く開催されている

工事を担当した森林開発公団は完成後、林道をそれぞれの自治体に移管しました。このため、1986(昭和61)年度以降は公道の町道・市道として管理されており、林業以外の使用目的でも自由に乗り入れができるようになりました。
当初はクチコミで聞きつけたライダーがツーリングに来る程度でしたが、地元の出版社員が「剣山スーパー林道マップ」を作成した20年余り前から、中央のオフロード専門誌に取り上げられるようになり、全国のファンに広く知られることになりました
四輪駆動車のラリーやバイクツーリング、マウンテンマラソンなど、道路使用許可をとってのイベントも数多く開催されています。林道の中央からやや起点寄りにある剣山国定公園のビジターセンター「ファガスの森・高城」に宿泊や飲食で立ち寄るライダーは、この数年、年間3千数百人に上っています。実際にはこの約2倍が林道ツーリングを楽しんでいると推測されています。

剣山スーパー林道以外の情報も盛りだくさん!『徳島のトリセツ』好評発売中

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から徳島県を分析!

大分県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。徳島の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く徳島の大地

・瀬戸内海の形成には徳島県が関係している?
・世界三大潮流の1つ、鳴門の渦潮が発生する理由
・県を代表する二大河川、吉野川と那賀川の成り立ち
・世界三大奇勝・阿波の土柱のメカニズム
・日本百名山の1つ・剣山の成り立ち
・国内最古級の化石が出土、徳島県は恐竜王国だった?
・ウミガメに会える!日和佐の砂浜

…などなど徳島の自然を解説。

Part.2 徳島を駆け抜ける交通網

・徳島県にはなぜ「電車」が走っていないのか?
・阿佐海岸鉄道の歴史と魅力
・観光の目玉として注目される、トロッコ列車
・西日本最長!太龍寺ロープウェイ
・四国と近畿を結ぶ交通の要衝、大鳴門橋
・日本初の定期航路が開設された徳島空港

…などなど徳島の交通事情を解説。

Part.3 徳島で動いた歴史の瞬間

・古代史の謎、邪馬台国は徳島にあった?
・なぜ平家の落ち武者は祖谷に住んだのか
・畿内・阿波一円を支配した三好家
・戦国時代に活躍した阿波水軍とは?
・藩祖・蜂須賀家と徳島城下
・「うだつの町並み」はどうやって生まれた?
・地方創成の成功例!旧木頭村産業の歴史

…などなど徳島の歴史を徹底解説。

Part.4 徳島で生まれた産業や文化

・鳴門の名前を持つ鳴門金時とは?
・徳島が誇るすだち栽培の歴史
・鳴門わかめがおいしい理由
・徳島にLED製造会社が多い理由
・400年以上の歴史を持つ阿波踊り
・徳島にはなぜ「キライ」がたくさんある?
・阿波人形浄瑠璃と農村舞台

…などなど徳島の産業と文化を丁寧に解説。

『徳島のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  四国 > 徳島県 >

この記事に関連するタグ