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続縄文文化と縄文文化の違い
続縄文文化が縄文文化と大きく異なるのは、本州から金属器が安定的に供給された点にあります。引き続き狩猟採集が生活の糧ではありましたが、魚類(サケ、マス、カジキマグロなど)や海獣(クジラ、イルカ、アザラシなど)の占める割合が大きくなり、新しい漁場が開かれるようになりました。
また、続縄文時代には、地域ごとに特色ある土器が誕生しました。道南の渡島半島には恵山(えさん)式土器、道央部の石狩低地帯には江別(えべつ)式土器、知床から網走にかけてのオホーツク沿岸には宇津内(うつない)式土器、道東の太平洋岸(釧路地方)には興津(おこつ)・下田ノ沢(しもだのさわ)式土器が生まれ、それぞれの分布域で独自の文化圏が醸成されていきました。
続縄文遺跡の分布
続縄文前期の文化は、東西で大きな違いがあります。西側で見られる恵山文化と江別文化は東北北部の弥生文化の影響を受けており、東側で見られる宇津内文化と興津・下田ノ沢文化は縄文晩期の伝統を引いています。
北海道の続縄文文化① 海洋狩猟が発展した恵山文化
恵山文化の代表的な遺跡は恵山貝塚(函館市)。この遺跡からは疑似餌(ぎじえ)と考えられる魚形石器が見つかっていることから、海を積極的に利用する「海の文化」であると推測され、事実、貝塚からはキタムラサキウニや魚類(マグロ、カサゴ、ヒラメなど)、海獣類(クジラ、イルカ、アザラシ類など)の骨が出土しています。
北海道の続縄文文化② 河川での漁業が盛んだった江別文化
江別文化は河川に大きく依存した「川の文化」で、江別太(えべつぶと)遺跡(江別市)は千歳川の東岸に位置します。サケなどの多量の魚骨、木製のモリやヤスといった漁具が出土しており、河川漁労が盛んであった様子がうかがえます。
宇津内文化は海洋漁労を生業としていました。樺太や北方大陸との文化交流のあとが見受けられ、本州を経由しないルートで鉄製品が流入したようです。
北海道の続縄文文化③ 海洋狩猟を主体としていた興津・下田ノ沢文化
興津・下田ノ沢文化も海洋狩猟の文化で、当初は釧路地方を中心に分布していた下田ノ沢式土器は、続縄文時代中期になって北見市周辺にまで広がりを見せました。
続縄文文化のパワースポット!?も登場
続縄文文化を代表する遺跡としては、フゴッペ洞窟(余市町)も忘れてはなりません。余市湾に面する丸山と呼ばれた小さな丘にある洞窟遺跡であり、江別文化の影響を受けた文化圏の遺跡であると推定されています。
この洞窟は幅6m、高さ7m、奥行き7mで、壁面に「翼をもつ人物」「角をつけた人物」など約800点の多彩な刻画が描かれていました。続縄文人にとっての祭祀場(さいしじょう)であったと考えられており、続縄文人の精神性を探る意味でも重要な遺跡といえます。
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