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岸和田城の歴史~天守の焼失と再建

かつて岸和田城の天守は5層あったとされますが、1827年に落雷によって焼失しました。現在の天守は1954年に建てられた鉄筋コンクリート製で、復元ではなく新たに設計された3層建てです。

天守の石垣や公園として整備されている二の丸など、往時をしのぶ遺構も一部残され、とくに本丸石垣下には「犬走り」と呼ばれる堀に面した平らな堤があります。

本丸内に設けられた八陣の庭は作庭家(さくていか)の重森三玲(しげもりみれい)によるもので、国の名勝に指定されています。2017年には「続日本の100名城」に選ばれました。

岸和田城

住所
大阪府岸和田市岸城町9-1
交通
南海本線蛸地蔵駅から徒歩7分
料金
天守閣=大人300円、中学生以下無料/岸和田城・岸和田だんじり会館・きしわだ自然資料館3館共通=700円/(障がい者手帳持参で本人と同伴者1名無料)

岸和田城下を疾走!岸和田だんじり祭

岸和田城下を疾走!岸和田だんじり祭

そんな岸和田城下の旧市街地で、9月中旬の土日に行われるのが岸和田だんじり祭です。起源は諸説ありますが、一般的には1703年に藩主・岡部長泰(おかべながやす)が行った稲荷祭りとされます。

岸和田城周辺とだんじり祭

岸和田城周辺とだんじり祭

2019年のコース。岸和田だんじり祭は南海本線岸和田駅より海側の地域で行われ、その人出は2日間で約50万人(2019年)。メインコースは見物客であふれます。2020年は新型コロナウイルスの影響で曳き回しを自粛しました。

岸和田だんじり祭の勇壮な曳き回し

祭りで曳き出される22台のだんじり(山車(だし))は、総ケヤキ製の白木作りで、高さ約4m、重さ約4t、全体に精密な彫刻がほどこされた本体の制作費は約1億円となります。これを朝から夕方まで疾走させ、交差点も走って曲がります。

時には勢いあまってだんじりが民家や電柱に激突することもあり、その様子がメディアにも取りあげられて全国的な知名度を得ました。

岸和田だんじり祭の曳き回しは夜になると雰囲気が一変!

いっぽう、夜になると、だんじりの周囲に200個近い朱色の提灯がつるされます。これを老若男女が綱を曳いて練り歩き、昼間の勇壮さとは異なる優美な姿を見せます。

岸和田だんじり祭

住所
大阪府岸和田市市内各所
交通
南海本線岸和田駅からすぐ(駅前通り)
料金
要問合せ

だんじり祭りは岸和田市内の各所や近畿各地でも開催!

だんじり祭は旧市街地だけでなく、同じ日には同市内の春木地区、10月中旬にも市内の各所で行われます。

岸和田市以外でも、近畿各地で夏から秋にかけて独自のだんじり祭りが開かれており、その台数は大阪府内で600台以上、兵庫県 や奈良県、和歌山県を含めると800台近くになります。だんじりの形態も「岸和田型」「堺型」「住吉型」「石川型」「大阪型」「神戸型」 などがあります。

ふとん太鼓と泉州南部のやぐら

祭礼で曳き出されたり、担がれたりする山車や神輿などを総称して練物といいます。

大阪の祭りを盛り上げる練物の1つがふとん太鼓です。正方形の大きな座布団を数段積み上げた神輿(みこし)のようなものですが、中に人が乗り積まれた太鼓をたたくところは異なります。

泉州南部にはやぐらと呼ばれる山車があり、だんじりに似た形ですが、4輪ではなく京都の貴族や公家が乗っていた御所車のような2輪構造になっているのが特徴です。

ふとん太鼓と泉州南部のやぐら

堺の百舌鳥八幡宮で行われるふとん太鼓(月見祭)

月見祭・ふとん太鼓

住所
大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町五丁706百舌鳥八幡宮
交通
JR阪和線百舌鳥駅から徒歩10分、または南海高野線百舌鳥八幡駅から徒歩12分
料金
情報なし

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大阪府の属する関西・近畿・畿内の違い
こんなに違った古代の大阪! 消えた河内湾と河内湖 ほか

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どの道路が、なぜ混むのか?大阪の道路網の現状
徹底比較! 大阪の私鉄(阪急電鉄と阪神電鉄、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道) ほか

Part.3:大阪の歴史を深読み!
幕府軍が落とせなかった千早赤坂城の秘密
織田信長に恭順して残された富田林寺内町
天下の台所として日本経済を支えた中之島 ほか

Part.4:大阪で生まれた産業や文化
ダイハツ、パナソニック・・企業城下町の今
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<コラム>
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