源為朝は九州支配のため周囲の豪族を力でねじ伏せる
この雁回山は、もともと木原山と呼ばれ、源為朝(ためとも)の居城があったと伝えられています。源為朝は平安時代末期の武将・源為義(ためよし)の八男で、源頼朝、義経兄弟の叔父にあたる人物ですが、とにかく乱暴者でした。そのため、13歳のとき父・源為義に九州に追放されますが、長じては身長七尺ほど(2m10㎝)の大男に成長して阿蘇大宮司忠国(あそだいぐうじただくに)の聟(むこ)になり、この地で鎮西八郎総追捕使(ちんぜいはちろうそうついほし)を自称して、周囲の豪族と戦い、九州を支配下に置いたといいます。
雁回山の由来
その源為朝は弓の名手としても有名で、木原山に住んでいたころ、64人力の強弓で山の上を飛ぶ雁をいつも射落としていました。そのため雁は恐れをなして木原山の上を避け、この山を回って通るようになったので、雁回山と呼ぶようになったとされます。
源為朝はその功罪から畏れられる
その後、源為朝は九州の強者28騎を引き連れて都へと戻り、保元(ほうげん)の乱では父とともに崇徳上皇方に参加して大奮戦するが敗れ、伊豆大島へ流されますが、そこでも国司に従わず、大暴れして伊豆諸島を事実上支配したため、追討を受けて自害したと伝えられています。
その一方で、琉球に逃れ、彼の子が初代琉球王・舜天(しゅんてん)になったという伝説も残っています。それだけ、彼の名は広く知れ渡っていたのでしょう。
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