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熊本県の装飾古墳①:チブサン古墳

この古墳は古墳時代後期(6世紀)頃に造られたとされる前方後円墳です。後円部の内部に割り石を積み上げてつくられた石室があり、その奥の壁には赤、白、黒の三色で、丸や三角、菱形などの図が描かれています。この図の正面に並んだ2つの円が女性の乳房に見えることから「チブサン」という名がついたといわれています。
装飾古墳の彩色に使われている顔料は、赤色、白色、灰色、黒色2種、緑色の計6色で、赤は酸化鉄、白は白色の粘土、黒はマンガンを含む黒色の鉱物(炭素)、緑は緑色岩石の粉などをつかっています。

熊本菊池川流域に装飾古墳が多い理由

菊池川流域に装飾古墳が多いのは、その中でも、赤色の顔料(ベンガラ)の材料である阿蘇黄土が手に入りやすかった、阿蘇の火山灰が固まった凝灰岩が加工しやすかった、などの理由が考えられます。

チブサン古墳

住所
熊本県山鹿市城西福寺
交通
JR熊本駅から産交バス山鹿温泉行きで1時間20分、山鹿バスセンターで産交バス南関上町行きに乗り換えて6分、博物館前下車、徒歩10分
料金
大人100円、小・中・高校生50円、小学生未満無料

熊本県の装飾古墳②:弁慶ヶ穴古墳

同じく山鹿市にある国指定史跡「弁慶ヶ穴(べんけいがあな)古墳」は、チブサン古墳より少し遅い6世紀終わり頃に造られた円墳ですが、石室の広さや装飾の鮮やかさは熊本県内屈指で、石室には人物やゴンドラ形の船、馬、鳥、太陽などが描かれています。ゴンドラ形の船は、死後の世界(黄よ泉みの国)へ向かう船で、棺らしきものが積まれており、当時の人々の死後の世界観が表現された装飾古墳として知られています。

熊本の装飾古墳と全国の分布傾向

山鹿市にはチブサン古墳、弁慶ヶ穴古墳に加え、オブサン古墳臼塚(うすづか)古墳馬塚古墳などがあるほか、菊池川沿いの玉名市、菊池市、和水町(なごみまち)にある装飾古墳は117基にもおよびます。また、山陰地方や関東地方にも部分的に分布していますが、それらは九州から伝播していったと考えられています。

当時権力をふるったヤマト政権とは別の文化圏

しかしなぜか、古墳が集中している奈良を中心とした近畿地方では、極端に数が少なくなります。古墳時代後期、熊本を中心にした地域に、いわゆるヤマト政権の文化とは異なる独自の文化圏が存在し、一定の勢力を有していたと考えられているのはそのためです。研究者の中には、527(継体天皇21)年に起きた「磐井の乱」に登場する豪族・筑紫磐井(ちくしいわい)との関連を指摘する声もあります。

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Part.1 地図で読み解く熊本の大地

・激しい地殻運動が生んだ熊本県の変化に富んだ地形
・御船町でさまざまな恐竜の化石が発見されるのはなぜか?
・阿蘇で今も語り継がれる「健磐龍命蹴裂伝説」の謎
・南北に分断された九州がひとつになった理由とは?
・4つの川は熊本にとって恵みの存在なのか?
・ちょっと不思議な天草諸島の地形はどうやってできたのか?
・熊本は「火の国」ではなく、実は「水の国」だった!?

…などなど熊本のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 熊本を駆け抜ける鉄道網

・熊本の物流を支える鉄道はどうやってつくられたのか?
・熊本電鉄の路線で、“懐かしの車両”に出合えるのはいったいなぜなのか?
・2020年7月豪雨で存亡の危機に! 果たして肥薩線は復活できるのか?
・全線不通から全線開通は可能か? くま川鉄道と南阿蘇鉄道の挑戦は続く
・熊本を走る観光列車のいろいろ。その歴史と魅力を知っておこう!
・九州新幹線の開通で人の流れは変わったのか?

…などなど熊本ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 熊本で動いた歴史の瞬間

・旧石器時代の沈目遺跡の打製石器は誰がつくったのか?
・弥生時代の熊本は鉄器製造の一大産地だった!?
・菊池を450年にわたって支配した大豪族・菊池氏の正体は?
・肥後を支配した守護代「大友氏」の壮絶な家督争いとは?
・加藤清正が「セイショコさん」と呼ばれ、今でも熊本県民に慕われるワケは?
・西南戦争における最大の激戦「田原坂の戦い」とは?
・軍都へと変貌していった熊本県と熊本城の運命は?

…などなど、激動の熊本の歴史に興味を惹きつける。

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