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轟貝塚の人々は喜界カルデラ大噴火を生き延びた!
宇土市宮庄町(みやのしょうまち)の轟(とどろき)貝塚からは、1917(大正6)年に縄文時代前期の土器(轟式土器)や埋葬人骨が発見されたことが知られていますが、その後の調査で鬼界カルデラ噴火以前の約7500年前(縄文時代早期末)まで遡る人骨も出土しています。つまり、轟貝塚周辺に住んでいた人々は鬼界カルデラ噴火という大災害の中を生き延びた人々なのです。
轟式土器は日本各所や大陸からも出土
この轟式土器は、九州地方を中心に中国地方西部、山陰地方、朝鮮半島南岸沿いで発見されており、その当時から広く交易が行われていたことを示しています。
曽畑式土器は轟貝塚のほど近く曽畑貝塚から出土
また、轟遺跡から東へ10㎞ほどの宇土市岩古曽(いわこそ)町では曽畑(そばた)貝塚が形成されました。この曽畑貝塚の本格的な発掘調査が始められたのは1959(昭和34)年頃からのことでしたが、貝塚の形成が始まったのは、轟貝塚が形成されるより前のことだった可能性も指摘されています。
曽畑貝塚に隣接した場所からは、ドングリなどを貯蔵していた穴が多数発見され、食物を貯蔵する場所とゴミ捨て場がはっきりと区別されていたことも確認されています。曽畑貝塚をつくった人々が、かなり高度化した文化を築いていたことは間違いありません。
轟貝塚と曽畑貝塚は、東西10㎞しか離れていませんが、轟貝塚が形成されたのは約6000年前、曽畑貝塚が形成されたのは約4500年前と考えられています。
曽畑式土器は沖縄や韓国からも出土
また、外側を蜘蛛の糸のような細い線刻で飾った特徴的な土器が発見され、曽畑式土器と名づけられ、轟式土器と共に、縄文時代前期の標式土器とされることとなりました。興味深いのは、この曽畑式土器が、鹿児島県や宮崎県、さらには韓国・釜山市の東三洞(トンサンドン)貝塚遺跡などからばかりではなく、沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)の伊礼原(いれいばる)C遺跡や、読谷村(よみたんそん)の渡と具知東原(ぐちあがりばる)遺跡などからも出土していることです。
曽畑式土器を広く伝えた曽畑貝塚の人々
轟式土器が、九州地方、中国地方西部、山陰地方、朝鮮半島南岸沿いに分布していることは前述しましたが、曽畑式土器の分布範囲は、それよりはるかに広く、遠く離れた沖縄まで広がっているのです。おそらく、曽畑貝塚を残した人々は、曽畑式土器の文化を創り上げると同時に、航海術を発展させて、はるか南方の沖縄まで到達するようになっていたのでしょう。曽畑人は朝鮮半島から沖縄に至る長大なルートを自由に往来して、曽畑式土器の技術を伝えていたのです。
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