くま川鉄道復旧を待ち望む地元の声
そもそも、くま川鉄道の利用者の8割は通学に利用する学生で、通常は1両編成ですが、朝の通学時間帯は3両編成で運行することも多く、乗車率も130%に上っていました。また、車を運転できない高齢者たちにとっても、まさに生活に欠かせない路線でした。そのため、湯前線の復活を望む声は大きく、くま川鉄道も存続の方針を打ち出して、懸命の努力を続けています。
とはいえ、球磨川第四橋梁の再建には数年は必要だと見られ、全線復旧まではまだまだ時間がかかりそうです。
南阿蘇鉄道の歴史と地震被害
一方、南阿蘇鉄道は、1986(昭和61)年4月1日に、旧国鉄の特定地方交通線だった高森線を第三セクター化して、立野駅−高森駅間の17.1㎞を結ぶ南阿蘇鉄道として開業。地元の公共交通機関として人々の生活を支えると同時に、トロッコ列車は観光客に人気でしたが、2016(平成28)年4月の熊本地震で全線不通となりました。それでも同年7月31日には中松駅−高森駅間が復旧して、この間の7.1㎞が営業を再開しています。
人気の観光トロッコ列車「ゆうすげ号」。2022年現在は主に3〜11月の土・日・休日、春・GW・夏休み期間のみ運行となっています。
トロッコ列車「ゆうすげ号」
- 住所
- 熊本県阿蘇郡高森町高森1537-2
- 交通
- JR豊肥本線肥後大津駅から産交バス高森駅前行で1時間、終点下車すぐ
- 料金
- 乗車料(高森駅~中松駅、片道、全席指定)=大人790円、子ども(3歳以上)450円/乗車料(高森駅~中松駅、往復、全席指定)=大人1380円、子ども(3歳以上)800円/(2歳以下でも席が必要な場合は小人料金が必要)
南阿蘇鉄道は2023年全面復旧を目指す
南阿蘇鉄道の復旧費用は、橋の架け替え工事費約40億円を含めて計約70億円と試算されています。社長を務める草村大成(くさむらだいせい)・高森町長が国に要望し、実質97.5%が国費でまかなわれることになり、2023(令和5)年夏の全線復旧を目指すとしています。
しかし、コロナ禍で売り上げは熊本地震直後並みに減少、経営は決して楽ではないと報じられています。
南阿蘇鉄道にある元・日本一
ちなみに、南阿蘇鉄道には「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」という名の駅があります。2020(令和2)年3月20日に、京福電気鉄道北野線の等持院駅が「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅」へ改称されるまで日本一長い名前の駅として知られていました。残念ながら、現在のところ不通区間となっていますが、1日も早い営業再開が望まれています。
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・御船町でさまざまな恐竜の化石が発見されるのはなぜか?
・阿蘇で今も語り継がれる「健磐龍命蹴裂伝説」の謎
・南北に分断された九州がひとつになった理由とは?
・4つの川は熊本にとって恵みの存在なのか?
・ちょっと不思議な天草諸島の地形はどうやってできたのか?
・熊本は「火の国」ではなく、実は「水の国」だった!?
…などなど熊本のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 熊本を駆け抜ける鉄道網
・熊本の物流を支える鉄道はどうやってつくられたのか?
・熊本電鉄の路線で、“懐かしの車両”に出合えるのはいったいなぜなのか?
・2020年7月豪雨で存亡の危機に! 果たして肥薩線は復活できるのか?
・全線不通から全線開通は可能か? くま川鉄道と南阿蘇鉄道の挑戦は続く
・熊本を走る観光列車のいろいろ。その歴史と魅力を知っておこう!
・九州新幹線の開通で人の流れは変わったのか?
…などなど熊本ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 熊本で動いた歴史の瞬間
・旧石器時代の沈目遺跡の打製石器は誰がつくったのか?
・弥生時代の熊本は鉄器製造の一大産地だった!?
・菊池を450年にわたって支配した大豪族・菊池氏の正体は?
・肥後を支配した守護代「大友氏」の壮絶な家督争いとは?
・加藤清正が「セイショコさん」と呼ばれ、今でも熊本県民に慕われるワケは?
・西南戦争における最大の激戦「田原坂の戦い」とは?
・軍都へと変貌していった熊本県と熊本城の運命は?
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