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熊本に豪雨をもたらす原因

昔から熊本地方には、「肥後の夕凪(ゆうなぎ)」という言葉もあります。熊本平野は金峰山と阿蘇山との間で盆地を形成するため、夏場は気温が35℃を越す猛暑になることが多く、夏の夕刻になるとぴたりと風が吹かなくなり、非常に蒸し暑くなるのです。

その一方で、東シナ海からは暖かく湿った空気が入りやすく、大雨や集中豪雨が発生しやすいのです。特に梅雨時期の雨量が多く、6・7月の2カ月間に年間降水量の約4割が降り、たびたび土砂災害や洪水の被害をもたらす原因にもなっています。

熊本豪雨は線状降水帯の発生により被害を及ぼす

さらに近年では、「2012(平成24)年7月九州北部豪雨」や「2018(平成30)年7月豪雨」、「2020(令和2)年7月豪雨」などに代表されるように、「50年に一度の大雨」が複数回発生しています。これは温暖化のせいだとされますが、実害を及ぼしているのは、次々と発達する雨雲(積乱雲)が列をなして発生する線状降水帯。雨雲が数時間にわたってほぼ同じ場所を通過、または停滞することで激しい豪雨をもたらしてしまうのです。

熊本の豪雨被害は今後も増える可能性がある

日本の天気は西から崩れていくのが一般的。これは、中国大陸などで発生した前線や低気圧、高気圧などが、偏西風によって日本にやってくるからです。つまり、本州の西に位置する九州地方がまず豪雨の洗礼を受けることになります。2018(平成30)年7月豪雨では、東海以西の広い範囲で15事例の線状降水帯が発生しましたが、2020(令和2)年7月豪雨では九州地方だけで2018(平成30)年7月豪雨に匹敵する線状降水帯が確認されました。このとき、九州の上空(高度750m)では、東シナ海を通る多量の水蒸気域と太平洋高気圧の周辺をまわる水蒸気域が合流、さらに高度3㎞でも東シナ海を通る水蒸気域が九州に達していました。そのため、大気の状態が顕著に不安定化していたのです。今後、こうした豪雨がさらに増える可能性も指摘されています。さらなる備えが必要であることはいうまでもありません。

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Part.1 地図で読み解く熊本の大地

・激しい地殻運動が生んだ熊本県の変化に富んだ地形
・御船町でさまざまな恐竜の化石が発見されるのはなぜか?
・阿蘇で今も語り継がれる「健磐龍命蹴裂伝説」の謎
・南北に分断された九州がひとつになった理由とは?
・4つの川は熊本にとって恵みの存在なのか?
・ちょっと不思議な天草諸島の地形はどうやってできたのか?
・熊本は「火の国」ではなく、実は「水の国」だった!?

…などなど熊本のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 熊本を駆け抜ける鉄道網

・熊本の物流を支える鉄道はどうやってつくられたのか?
・熊本電鉄の路線で、“懐かしの車両”に出合えるのはいったいなぜなのか?
・2020年7月豪雨で存亡の危機に! 果たして肥薩線は復活できるのか?
・全線不通から全線開通は可能か? くま川鉄道と南阿蘇鉄道の挑戦は続く
・熊本を走る観光列車のいろいろ。その歴史と魅力を知っておこう!
・九州新幹線の開通で人の流れは変わったのか?

…などなど熊本ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 熊本で動いた歴史の瞬間

・旧石器時代の沈目遺跡の打製石器は誰がつくったのか?
・弥生時代の熊本は鉄器製造の一大産地だった!?
・菊池を450年にわたって支配した大豪族・菊池氏の正体は?
・肥後を支配した守護代「大友氏」の壮絶な家督争いとは?
・加藤清正が「セイショコさん」と呼ばれ、今でも熊本県民に慕われるワケは?
・西南戦争における最大の激戦「田原坂の戦い」とは?
・軍都へと変貌していった熊本県と熊本城の運命は?

…などなど、激動の熊本の歴史に興味を惹きつける。

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