天草の地形の特徴「ケスタ地形」とは
その天草諸島には、「ケスタ地形」という特徴的な地形が存在しています。その代表とされているのが、天草上島の「太郎丸嶽(たろうまるだけ)」と「次郎丸嶽(じろうまるだけ)」です。いずれも西側斜面はゆるやかなのに、東側斜面は急勾配で切り立っています。
ケスタ地形の「ケスタ」とは、スペイン語(Cuesta)で「斜面」の意味ですが、傾斜した地層に強度の異なる地質の層が隣接していた場合、軟らかい地層が早く風化・侵食され、硬い地層の風化・侵食があまり進まないために生じる波状の地形のことです。たとえば、アメリカとカナダの国境にあるナイアガラの滝は、オンタリオ湖に流れるナイアガラ川が、ケスタの急崖に流れてできたとされています。天草諸島には、そんな大きな川は存在しませんが、長い時間をかけ、降り注ぐ雨や風によってケスタ地形が形成されていったとされています。
天草のケスタ地形:太郎丸嶽と次郎丸嶽
太郎丸嶽も次郎丸嶽も、いずれも山の東側が急斜面になっているのに対し、西側はなだらかです。地理院地図のアナグリフで見ると、周辺の山々も同様に東が急斜面になっているのがはっきりわかります。ちなみに次郎丸嶽の標高は397m、太郎丸嶽の標高は281m。弟が兄より標高が高いのは、次郎丸嶽が太郎丸嶽の陰で夕日が見えないと言ったので、兄が弟のために背を低くしたからだと言い伝えられています。
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