阿蘇山は、約27万年前、約14万年前、約12万年前、約９万年前の４回、大噴火を起こし、特に４回目の噴火の際は、火砕流が海を隔てた島原、天草（あまくさ）や山口県まで流れ出たことが確認されています。現在の形になったのは数千年ほど前のことです。

その阿蘇山から西側に続く地域は、比較的標高の低い緩やかな筑肥山地（ちくひさんち）となっています。最高峰は福岡県との県境に位置する国見山（標高1018m）です。

熊本県北部には菊池川流域に菊池平野が、中央部には白川、緑川流域に熊本平野が開けています。さらにその南には、日本三大急流の１つである球磨川（くまがわ）とその他の中小河川の流域に八代平野が広がり、平坦地を形成しています。

これらの平野は、長い時間をかけて川を流れてきた土砂や、阿蘇山の噴火によって吹き上げられた火山灰などが堆積して形成された沖積平野で、古くから人々が住みつき、集落をつくって稲作など農作業を営むなどして、栄えていました。

しかし、そこからさらに南に向かうと様相が一変します。九州の中央部を北東から南西の方向に貫く九州山地となり、宮崎県との県境に国見岳（くにみだけ）（標高1739m）、市房山（いちふさやま）（標高1722m）などをはじめ、十数座の山々が連座しています。この九州山地は、臼杵（うすき）−八代構造線に沿って存在しています。日本列島がようやく形づくられ始めた地質時代に激しい構造運動（地殻運動）を受けた後、いったん低地化しますが、再び急上昇し山脈化したもので、この上昇運動に取り残されて盆地化したのが、宮崎県と鹿児島県との県境近くに広がっている人吉（ひとよし）盆地です。

一方、熊本平野の西方には宇土半島（うとはんとう）が突き出て有明海と八代海とを二分しており、宇土半島の南西には大小20余りの島からなる天草諸島が散在していました。こうした島々も、構造運動によって誕生したと考えられています。

熊本の変化に富んだ地形は、地球の地殻運動が生み出すエネルギーによって形づくられたのでした。

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