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青森県の水産業といえば「大間のマグロ」

大間のマグロとは、青森県下北郡大間町の大間沖でとれるクロマグロ。クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれ、最大3mを超える大型のマグロです。驚くのはその値段で、2019(平成31)年の豊洲市場の初セリでは、278kgのマグロに3億3360万円という史上最高値がつきました。1㎏あたり120万円になり、「黒いダイヤ」と呼ぶにふさわしい魚です。

青森の水産業の代表格マグロ漁は歴史が浅い?

しかし、青森のマグロが注目されるようになったのは、明治に入ってからのこと。それまでは輸送方法が未発達で、近くに大消費地がなかったため、マグロを積極的に獲ることはなかったといいます。明治以降は定置網を設置していましたが、次第に獲れるマグロが少なくなり、大正時代後期には一本釣りが主体になっていきました。現在のような秘伝の疑似餌や仕掛けを使った豪快な一本釣りが注目され、「大間のマグロ」が全国ブランドになったのは、意外にも平成に入ってからです。

青森の水産業はマグロだけじゃない!

マグロ以外では、2018(平成30)年にヤリイカ・スルメイカなどのイカ類の水揚げ量が全国1位、ホタテ貝、シジミが2位になっています(平成30年漁業・養殖業生産統計)。長年、イカの水揚げ高日本一を誇っているのが八戸港です。八戸港では、1960年代後半~80年まではサバ、そこから平成に入るまではイワシ、平成以降はイカがもっとも多く水揚げされてきました。しかし近年では、イカの不漁のため、サバが水揚げ量最多となっており、「八戸前沖さば」としてブランド化されています。

青森で水産業が盛んな理由は複数の海流によるもの

青森に水産物が豊富なのは、周辺の海流が関係しています。青森県の西には対馬暖流が北上しており、その大部分が津軽海峡に流れ込んで津軽暖流となり、下北半島を回って三陸沖を南下していきます。太平洋の沖合では、この津軽暖流と北から流れる親潮(寒流)、南の黒潮(暖流)からの流れがぶつかり合っています。この潮目には、それぞれの海流に乗って多様な生物が集まるうえ、魚のエサであるプランクトンも大量に発生するため、豊かな漁場となるのです。

青森の水産業の3割近くを占めるホタテの養殖

いっぽう、青森の養殖業の大部分を占めているのは、陸奥湾のホタテガイです。
青森県中央部にある内湾の陸奥湾は、湾中央部を除いて沿岸一帯がホタテガイの養殖漁場です。2013(平成25)年の養殖ホタテガイの生産量は5万950トンにのぼり、青森県の漁業生産の3割近くを占めています。
陸奥湾には、周りの山々から栄養豊富な水が流れ込み、ホタテガイのエサとなるプランクトンがよく育つのです。また、ホタテガイの生殖巣は冬季の水温が低いほど発達するとされ、陸奥湾の冷涼な気候もホタテガイ養殖に適しているといえます。

これらの好条件が相まって、青森は全国でも指折りの水産県となっているのです。

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から青森県を分析!

青森県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。秋田の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く青森の大地

・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち

・・・など

Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網

・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道

・・・など

Part.3 青森で動いた歴史の瞬間

・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく

・・・など

Part.4 青森で育まれた産業や文化

・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった

・・・など

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