青い森鉄道のモトとなった東北本線の歴史
盛岡〜青森間は、東北本線の前身、日本鉄道の第五区線として明治期に建設が行われました。当時、軍部は敵国に破壊されることを懸念し内陸側を経由する敷設を求めましたが、原案通りに太平洋側の八戸経由となりました。ただし、八戸は軍部に配慮し海岸から離れた尻内(しりうち)を経由しました。
こうして東北本線は、1891(明治24)年9月に盛岡〜青森間が開業するとともに、上野〜青森間が全通。開業時、上野〜青森間の列車は1日1往復、最短26時間25分で結ばれ、それまでは徒歩で20日程度、馬車で12日かかっていた東京〜青森間の交通体系(陸路)に大変革をもたらしました。
東北本線の黄金時代
日本鉄道は1906(明治39)年に国有化され、青函連絡船も運航を開始し青森駅で接続を始めます。以後、本線は多数の優等列車、貨物列車が運行する大幹線となりました。輸送力増強のため複線化と電化も推進され、1968(昭和43)年8月に全線の複線化と電化が完了。この間、1958(昭和33)年10月には東北地方初の特急「はつかり」が上野〜青森間(常磐線経由)で運転を開始し、1964(昭和39)年10月には初の寝台特急「はくつる」、翌年10月には常磐線経由の「ゆうづる」が登場するなど、東北本線は黄金時代を迎えます。
青い森鉄道が開業した背景
しかし、東北新幹線の開業によって優等列車の活躍範囲も縮小し、青函連絡船の廃止時には、接続する列車が廃止されるなど再び輸送体系に変化が訪れました。とりわけ、東北新幹線全通の影響は大きいものでした。終着の青森駅も、かつての青函連絡船の接続駅としてイメージは薄くなり、従来からの4代目駅舎を廃止し、2021(令和3)年3月からは橋上駅舎に生まれ変わりました。青函トンネルを経由した在来線特急や寝台特急の姿も北海道新幹線の開業で姿を消し、栄華をきわめた旧・東北本線と青森駅は近年、新時代を走り始めたばかりです。
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Part.1 地図で読み解く青森の大地
・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち
・・・など
Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網
・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道
・・・など
Part.3 青森で動いた歴史の瞬間
・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく
・・・など
Part.4 青森で育まれた産業や文化
・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった
・・・など
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