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下北半島の鉄道は大半が完成するも戦局悪化で中断
まず、1939(昭和14)年11月に第一期区間の下北〜大畑間が大畑線として開業しました。大畑以西は第二期区間として着工、1940(昭和15)年8月に大畑〜釣屋浜(つりやはま)間が竣工し、1941(昭和16)年10月までに釣屋浜〜木野部(きのっぷ)間、下風呂(しもふろ)〜桑畑(くわはた)間が完成しました。大間には旧・日本陸軍の要塞があり、その後も優先的に建設が行われ、路盤の大半が完成していましたが、戦局の悪化から工事は中断されます。戦後は、地域住民による工事の再開運動も展開されますが叶わず、未成の路盤はそのまま放置されました。
下北半島から鉄道で津軽海峡を渡る計画は明治期からあった
この頃、まだ着工していなかった青函トンネルには下北半島を縦断する東ルート案があり、大間線の活用が期待されましたが、のちに西ルート案に決定し廃案になります。
下北半島から津軽海峡を鉄道で越える構想は、じつは明治中期よりありました。当時の函館区長が「野辺地〜大間間に鉄道を敷設、大間〜函館間に貨客船を配置し海陸連絡、東京〜函館間の船車連絡時間を短絡すべし」と提唱していましたし、大正期にも大間〜函館間を海底トンネルで結ぶ構想があったのでした。いずれも下北半島の鉄道を北海道への連絡線として計画しており、これが実現していれば青森県の鉄道の輸送体系は大きく塗り変わっていたことでしょう。
下北半島の鉄道は大湊線のみ
現実的には、下北〜大畑間の大畑線はのちに第1次特定地方交通線となり廃止され、1985(昭和60)年7月、下北交通へ転換。その後の経営も苦しく、2001(平成13)年4月に廃止されました。未成の大間線は、その後も路盤や橋梁などが残り、美しいコンクリート製のアーチ橋が見られ観光資源にもなっています。現役の大湊線は地域輸送に貢献し、青森・八戸〜大湊間には快速「しもきた」も走ります。途中の下北駅は本州最北端の駅として知られています。
下北半島で唯一の鉄道大湊線の路線
大湊線は、青い森鉄道と連絡する野辺地駅を起点に大湊駅までの58.4㎞を11駅で結んでいます。下北駅は本州最北の駅で、かつてはそこから半島北岸の大畑までの18㎞区間(8駅)に大畑線が走っていました。また、大畑からは大間まで西進する大間線の計画がありました。
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Part.1 地図で読み解く青森の大地
・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち
・・・など
Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網
・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道
・・・など
Part.3 青森で動いた歴史の瞬間
・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく
・・・など
Part.4 青森で育まれた産業や文化
・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった
・・・など
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