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根室車石を間近で観察しよう

根室車石を間近で観察しよう
根室車石は、花咲岬(根室市)の灯台から続く散策路を海に向かって少し下った場所にあります。

根室車石は、放射状節理(せつり)がよく発達しており、正面から見るとまるで車輪の形をしています(節理とは溶岩が冷え固まる際にできた割れ目)。このような岩を英語ではホイールストーンといい、直訳して車石と命名されました。

根室車石クラスの大きな車石は世界的にも貴重で、国の天然記念物に指定されています。また、駐車場やトイレ、散策路なども整備されており誰でも観察しやすくなっています。なお、根室車石の周辺には、直径1~3mほどの小さな車石も多数あります。

根室車石の形成と花咲岬の枕状溶岩

花咲岬の海食崖をよく見ると、下のほうは、丸太や米俵に似た円柱形の溶岩を何本も積み重ねたような姿をしています。

これは枕状(まくらじょう)溶岩と呼ばれ、海底火山から噴出した溶岩が海水中で急速に冷え固まった結果できたものです。

海底に流出した溶岩は高温でドロドロに溶けていますが、海水に触れると急速に冷やされ、表面が固まって薄い殻状になります。そこに溶岩の噴出が続くと、表面の薄い殻を突き破って、枕のような形状をした一塊が、次々と重なって堆積していきます。溶岩は、海水で急速に冷やされるため表面が殻状に固まります。枕状溶岩は、これを幾度も繰り返しながら形成されたものです。

根室車石の形成は枕状溶岩の内部にできた節理

そして、海水で冷却された枕状溶岩の内部には、放射状または同心円状の節理が発達します。よって、枕状溶岩の断面を観察すると、しばしば小さな車石のような模様を確認できます。

花咲岬では、枕状溶岩の上に溶岩流が冷え固まってできた板状(シート状)溶岩が覆いかぶさっています。つまり、根室車石はこの板状溶岩の一部が盛り上がって、その内部で放射状節理が発達し、車輪状の岩体を形づくったものなのです。

ガッカラ浜に刻まれた津波の痕跡

根室市初田牛(はったうし)にあるガッカラ浜の背後には、標高50mほどのなだらかな海成段丘が発達しています。また、ガッカラ浜には小さな湿原があり、そこの高さ約1.6mの海食崖で、約4000年分の堆積物が凝縮された細かい縞模様(地層)が観察できます。

湖沼堆積物を由来とする泥炭層のなかに、火山灰層が6層、砂層が12層あります。砂層は過去に押し寄せた津波の堆積物です。とくに17世紀にできた津波堆積物には最大で直径35㎝もの岩石が挟まっており、このときの津波の高さは11m超の巨大なものであったと推定されています。

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