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【札幌の地質】札幌に残る太古の火山と世界最古級の大型カイギュウ類の化石
それよりずっと前、約670万年～240万年前（新第三紀中新世～第四紀更新世）には、八剣山（はっけんざん）や手稲山、藻岩山（もいわやま）など現在も札幌市民におなじみの山々が、活発な火山活動をともなって誕生しています。
また、札幌市博物館活動センター（豊平区）には、サッポロカイギュウの全身骨格復元標本が展示されています。これは、約820万年前に生息していた体長7mほどのカイギュウ類（ジュゴンやマナティと同じ仲間）で、大型カイギュウ類としては世界最古級という学術的にも貴重な資料です。
札幌市博物館活動センターに展示されるサッポロカイギュウの骨格復元標本
【札幌の地質】市街地を潤す湧水（メム）を再現復活
ところで、札幌市街地は豊平川の扇状地（せんじょうち）に開かれましたが、生活に必要な水は扇状地末端の湧水地（メム）から得られていました。このメムを源とした流れのひとつが、北海道大学構内を流れるサクシュコトニ川で、往時のメムは涸渇してしまいましたが大学構内で人工の泉をつくり流れを復活させています。
北海道大学構内で復活させたサクシュコトニ川
【札幌の地質】特徴的な地質や地形を観察しよう
このように道都・札幌は、火山や化石、扇状地末端の湧水地など、実は地形・地学的な見どころに溢れているのです。
札幌市内のおもなジオサイト
札幌市の面積は約1121㎢で東京23区を超える広さです。道都として宅地開発が盛んに行われてきたいっぽうで、広大な市域には北海道の過去を知るための貴重な露頭（地質）や地形、山々が残されています。
藻岩山
標高531m。 約280万年～240万年前に活動した古い火山で、輝石を含む安山岩でできています。 中腹より下は約400万年前の火山岩類からできています。
藻岩山
- 住所
- 北海道札幌市南区藻岩山
- 交通
- 地下鉄大通駅から市電内回りで22分、ロープウェイ入口下車、徒歩8分（無料シャトルバスあり）
- 料金
- ロープウェイ＋ミニケーブルカー（往復）＝大人2100円、小人1050円／
手稲山
標高は1023m。新第三紀鮮新世の約370万年に噴出した安山岩溶岩からなる山。かつては、金銀を産出する手稲鉱山がありました。
八剣山
「恐竜の背骨」のような稜線で知られる八剣山は、約670万年前にマグマが上昇してできた安山岩とデイサイトからできています。標高は498m。
モエレ沼
石狩平野を蛇行していたかつての河道を示す河跡湖。2005（平成17）年、周辺はイサム・ノグチ設計によるモエレ沼公園として整備されました。
モエレ沼公園
- 住所
- 北海道札幌市東区モエレ沼公園１－１
- 交通
- 地下鉄環状通東駅から北海道中央バスあいの里教育大駅行きで20分、モエレ沼公園東口下車、徒歩10分
- 料金
- 入場料＝無料／テニスコート（1時間）＝640円／野球・陸上競技場（1時間）＝1200円／レンタサイクル（2時間）＝200円～／
定山渓石英斑岩体
定山渓には大きな石英結晶を含む石英斑岩が分布。約1000万年前、地中深くでマグマがゆっくり冷えてできたもの。
藻南公園
豊平川の川床や急崖には礫を含む灰色の地層が分布。これは約400万年前、海底火山の溶岩が水で急冷されてできた水冷破砕岩（ハイアロクラスタイト）。
薄別層
定山渓付近、薄別橋下流に分布する薄別層は札幌最古の地層。約1億5000年前（ジュラ紀）に堆積した砂泥互層が地殻変動により表出しています。
札幌軟石石切場跡
藻南公園にある、約4万年前に大噴火した、支笏火山による支笏火砕流堆積物が堆積した露頭。札幌軟石として切り出された跡。
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『北海道のトリセツ』見どころ―目次より抜粋
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地球規模のプレート運動が北海道の大地と山々をつくる！
むかわ町穂別で発見された新種恐竜カムイサウルスとは!?
国内最大の湿地・釧路湿原が3000年以上も陸地化しない謎 ほか
Part.2 北海道を駆け抜ける鉄道網
日本初の軌道交通は茅沼を走り手宮～札幌に道内初の本格鉄道
ゴムタイヤで性能は上々 札幌市営地下鉄3路線の実力
樺太の鉄道と稚泊連絡船 最北の鉄路・宗谷本線 ほか
Part.3 北海道で動いた歴史の瞬間
4000年前の縄文時代に築かれたストーンサークルとは何か？
海を駆け巡る北の民アイヌ 樺太進出を狙い元と戦う！
松前藩が誕生し支配体制が確立！ 南下を狙うロシアとのにらみあい
土方歳三の戦死で戊辰戦争終結！ 旧幕府軍が描いた蝦夷共和国とは ほか
Part.4 北海道で育まれた産業や文化
150年で200万都市へ成長！ 道都・札幌が大発展した理由とは？
北海道らしい大規模農業は開拓時代に黒田清隆が提唱した！
サッポロビールにニッカウヰスキー 北の大地で銘酒が誕生するまで ほか
<コラム>
データで分かる全189市区町村 人口、所得、農業・漁業
初三郎が描いた北海道の鳥瞰図
過酷な気候と労働が生んだ 小林多喜二のプロレタリア文学
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