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新潟が豪雪地帯となる理由

では、冬の新潟には、なぜこんなに多くの雪が降るのでしょうか。これには本州を日本海側と太平洋側とに分ける背の高い山脈群である脊梁(せきりょう)山脈、そして、日本海とそこを流れる暖流である対馬海流の存在が関係しています。

日本付近は冬になると、西に高気圧・東に低気圧があって等圧線が縦(じま)模様に並ぶ、冬型の気圧配置の日が増えます。こうなると北西の季節風とともに、大陸からは強い寒気がどんどん流れ込んできます。いっぽうで、日本海は暖流である対馬海流が流れているため、比較的海水温が高い。寒気はこの日本海の上を吹き渡る途中で、下層で海面から大量の熱と水蒸気を補給し、上下方向の温度差が大きくなります。結果として、大気の状態が不安定となり、海面から補給された水蒸気を材料に、雪雲(雄大積雲(ゆうだいせきうん)や積乱雲(せきらんうん))が次々と発生します。これらの雪雲が季節風とともに日本海側の各地へと流れ込み、やがて脊梁山脈にぶつかって、山間部の各地に大量の雪をもたらすのです。

新潟の豪雪地帯でいわれる「雪起こし」

日本海側に雪を降らせる雲のなかには積乱雲も含まれます。そのため、雪が降る際に、一発ドカンと雷が鳴ることもあります。これが「雪起こし」で、寒ブリ漁の頃に鳴ることから「ブリ起こし」とも呼ばれています。

新潟の豪雪地帯での暮らし

豪雪地帯での生活は、冬の間は常に雪とともにあり、雪とうまくつき合うための生活の知恵が暮らしに取り入れられています。インフラも、縦型信号機、コンクリート舗装、消雪パイプ、除雪ステーション、防雪柵など、豪雪に適応した特殊な仕様となっています。

そして、雪は厄介者ではなく、自然の恵みとしても広く活用されています。その例として雪室(ゆきむろ)が挙げられます。雪室は、積もった雪を集めてつくった天然の冷蔵庫です。酒や米、和牛、野菜などを雪室の中で貯蔵させたものは、特産品として地場の産業を支えています。また、スキー場をはじめとするウインタースポーツなど、雪を活用した観光業は、地域の主要産業にもなっています。スキー場は雪深い山間地に多く、とくに南魚沼地域には、新潟県内の約4割にあたる21カ所ものスキー場があります。

新潟の豪雪地帯から生まれた雪国百科事典『北越雪譜』

1837(天保8)年に出版された『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』。雪国の暮らしをはじめ、越後の自然や生きもの、祭り、伝説などを幅広く豊富な図版で紹介した、いわば雪国百科事典です。著者は鈴木牧之(ぼくし)。江戸時代後期の塩沢村(現・南魚沼市)で商人をしており、町人地主でもありました。仕事に精を出す傍らで俳句、絵、エッセイをしたため、とくに俳句は宗匠格でした。この本は江戸のベストセラーとなり、英語などに翻訳され世界各地で読み継がれています。

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新潟県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。新潟の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く新潟の大地

・新潟の地質・地形概論(「米納津隕石、櫛池隕石」)
・約3000万年前に誕生した佐渡島 火山や地殻変動の痕跡がいっぱい!
・かつて圧倒的な産出量を誇った佐渡島の金銀山が生まれた秘密
・プレートの沈み込みが生む奇跡!糸魚川地域でヒスイが採れるわけ
・ヒスイ峡に3億年前のサンゴ礁!? 石灰岩でできている明星山の秘密
・日本列島を分断する見えない溝 フォッサマグナとはいったい何か?
・最長70㎞で10列をなす新潟砂丘は信濃川と阿賀野川がつくった!?
・約40年前から形成され始めた中津川に広がる河岸段丘の絶景
・約1000万年前の海底火山が生んだ新潟市・間瀬海岸の奇岩や沸石
・上信越高原国立公園・清津峡 圧巻の渓谷と柱状節理ができるまで
・産出量は文句なしの全国1位! 新潟県に油ガス田が多いわけ
・約300万年で2000mも隆起! 八海山が秘める地殻変動のすごさ

Part.2 新潟を駆ける充実の交通網

・東京と新潟をいかにして結ぶか?直江津線として生まれた信越本線

ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。

Part.3 新潟の歴史を深読み!

・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟

Part.4 新潟で育まれた産業や文化

・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業

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