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火焔型土器はそのインパクトから広く浸透
馬高遺跡での発見以降、新潟県内の各地で同一型式の土器が見つかり、馬高遺跡は標式(ひょうしき)遺跡となりました。標式遺跡とは、土器型式の設定基準となる史料が出土した遺跡のことであり、その遺跡の名が土器形式の名称に用いられています。「火焰土器」と同系統の土器は「馬高式土器」と名づけられますが、実際には「火焰型土器」の名称のほうが浸透しているのは、やはり見た目のインパクトが大きいせいでしょう。また、馬高遺跡からは、下半身が欠けた土偶も出土。その可愛らしい見た目から「ミス馬高」の愛称で親しまれています。
火焰型土器の出土は新潟が最多
「火焰型土器」は秋田、福島、長野、富山、群馬、栃木の各県でも見つかっていますが、出土点数の大半は新潟県内の信濃川中流域です。信濃川右岸の河岸段丘上にある笹山遺跡(十日町市)も縄文時代中期の集落遺跡であり、「火焰型土器」の出土点数としては最多を誇ります。
新潟県の火焰型土器は国宝指定
「火焰型土器」14点を含む深鉢型土器57点や石器など合計928点の出土品は、1999(平成11)年に国宝に指定されました(国宝の指定名称は「新潟県笹山遺跡出土深鉢型土器」)。新潟県内では唯一の国宝です。これら「火焰型土器」は、器の内側にオコゲ(炭化物)や変色が見られることから、食物の煮炊きやアク抜きに用いられたことが判明しました。ただ、その装飾性豊かな形状から、祭祀的な役割も担っていたのではないかと推測されています。「火焰型土器」は縄文時代中期の500年ほどのあいだにつくられ、以降は姿を消しました。
火焔型土器だけじゃない!三十稲場遺跡から出土した土器
遠藤沢と呼ばれる小さな沢を隔てた馬高遺跡の西岸に、縄文時代後期の三十稲場遺跡(長岡市)があります。立地的な近さから、馬高で暮らした人々が生活の拠点を移したものと考えられており、こちらもまた標式遺跡とされています。三十稲場遺跡から出土した「三十稲場式土器」は頸部を細くした甕型(かめがた)土器であり、胸部全面には爪で突いたような刺突文がびっしりと施されています。縄文土器には珍しく、蓋型土器が多い点も特徴的です。鉢形土器のほうも、蓋を載せることを前提としたつくりになっています。
また、同遺跡の南側から出土した土器群は、「南三十稲場式土器」とされます。沈線文(木や竹などで直線や曲線を描く)を多用し、縄文をこそぎ取る手法(磨消(すりけし)縄文手法)などを用いています。
このように新潟県域には、独自色の強い縄文遺跡が多数存在し、縄文人の暮らしの多様性を現代に伝えています。
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・新潟の地質・地形概論(「米納津隕石、櫛池隕石」)
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・かつて圧倒的な産出量を誇った佐渡島の金銀山が生まれた秘密
・プレートの沈み込みが生む奇跡!糸魚川地域でヒスイが採れるわけ
・ヒスイ峡に3億年前のサンゴ礁!? 石灰岩でできている明星山の秘密
・日本列島を分断する見えない溝 フォッサマグナとはいったい何か?
・最長70㎞で10列をなす新潟砂丘は信濃川と阿賀野川がつくった!?
・約40年前から形成され始めた中津川に広がる河岸段丘の絶景
・約1000万年前の海底火山が生んだ新潟市・間瀬海岸の奇岩や沸石
・上信越高原国立公園・清津峡 圧巻の渓谷と柱状節理ができるまで
・産出量は文句なしの全国1位! 新潟県に油ガス田が多いわけ
・約300万年で2000mも隆起! 八海山が秘める地殻変動のすごさ
Part.2 新潟を駆ける充実の交通網
・東京と新潟をいかにして結ぶか?直江津線として生まれた信越本線
ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。
Part.3 新潟の歴史を深読み!
・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟
Part.4 新潟で育まれた産業や文化
・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業
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