越後線の歴史
越後線の歴史は、私鉄の越後鉄道から始まりました。信越本線の前身、北越鉄道が新潟に至る経路は海岸近くを通る案が検討されますが、結局、内陸の柏崎~長岡~新津~新潟の経路が採用されました。そこで、柏崎~新潟間を日本海沿岸経由で結ぶ越後鉄道が設立され、1912(大正元)年8月に白山(はくさん)~吉田間が開業します。資金難から信濃川に架橋できず白山駅がターミナルとなりますが、白山駅はモダンな木造2階建てで、2階には西洋料理の「イタリア軒」が入るなど洒落ていました。
開業時は4往復の運行で、白山~吉田間を1時間20分で結んでいました。その後は延伸を繰り返し、翌年4月までに全通。当初は軽便鉄道として建設されますが、軌間(レールの幅)は日本国内で一般的な1067㎜を採用しました。越後鉄道は1927(昭和2)年10月に国有化され、1943(昭和18)年11月にようやく新潟駅まで延伸し、現在の越後線の姿が整いました。
越後線は電化で利便性が向上
以後、越後線は非電化路線として長らく運行を続けました。1954(昭和29)年からは新潟県内で豊富に産出される天然ガスを燃料にした「天然ガスカー」も運行されますが、ローカル線には変わりありませんでした。しかし、1984(昭和59)年4月に電化されると状況は一変。電化を機会に列車は大幅に増発され、内野~新潟間ではそれまでの20往復から30往復になり、その後も増発が続き日中は20分間隔で運転され、たちまち便利な路線になったのでした。
越後線を現役で走る旧国鉄形115系
この電化に際し、越後線に入線した車両が旧国鉄の115系電車です。勾配用の直流近郊形電車の決定版として1900両以上が製造され、新潟地区では上越線などに投入されました。近年は老朽化により次々と引退し、現在、JR東日本では新潟地区のみでしか見られません。越後線はそんな国鉄形115系電車の最後の砦であり、さまざまな塗装を施した編成が今も活躍しています。
原色であるオレンジと緑色の湘南色(しょうなんしょく)、赤と黄色という懐かしの新潟色、JR化直前に登場した1次新潟色、JR化以降の2次新潟色、3次新潟色、1次弥彦色(やひこしょく)、明るい黄色の2次弥彦色の7種類があり、どの塗装の車両がくるかはお楽しみ。ただし、115系が充当されるのは3両編成の列車(1往復のみ6両編成)です。なお、越後線にはE129系とE127系電車も走っており、今後はE129系が増備され115系の退役が進んでいきます。越後線で長く親しまれ活躍した、115形の引退は少々さびしいものです。
観光路線の弥彦線を走るE127系電車
弥彦線は、東三条~弥彦間を結ぶ電化路線です。越後線と同じく越後鉄道により誕生。1916(大正5)年10月の西吉田〜弥彦間の開業を皮切りに、燕駅、一ノ木戸駅(のちに東三条に改称)と延伸し1927(昭和2)年7月に越後長沢駅まで全通しました。弥彦神社への参詣客輸送のほか、越後鉄道は当時、弥彦山に遊園地を設けることも計画し観光開発を主目的としていました。国有化後は越後線同様にローカル線となり、電化も越後線と同時に行われますが、1985(昭和60)年4月に乗客の少なかった東三条~越後長沢間が廃止されました。現在、朝夕の吉田~東三条間の一部の列車にのみ、国鉄形の115系電車が運転され注目されています。
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ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。
Part.3 新潟の歴史を深読み!
・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟
Part.4 新潟で育まれた産業や文化
・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業
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