油田・ガス田はどうやってできるのか?
油ガス田ができるには、いくつかの条件がそろっていなくてはなりません。石油のもとになっているのは、おもに海洋プランクトンなどの水生の微生物です。微生物の死骸は泥や砂とともに水底に堆積していきますが、ふつうはほとんどが分解されてしまいます。しかし、何らかの理由で水底付近に酸素濃度が低い場所があると分解が進まず、有機物を大量に含む泥の地層ができます。有機物に富む泥層の上に堆積物が溜まっていき、とくに地盤が沈降する場所では、堆積物が厚く積み重なり、その圧力によって有機物に富む泥の層は頁岩(けつがん)(油母(ゆぼ)頁岩、根源岩)になります。頁岩が地中深さ数kmに達し、温度が100℃前後になると、頁岩中に含まれる有機物が化学反応を起こし、ケロジェン(油母)という物質に変わります。地下深くに堆積したケロジェンは、さらに高い圧力や温度によって原油や天然ガスに変化していくのです。
油田はどのようなところにあるのか?
原油は水より密度が小さく軽いので、おもに砂岩などの岩石中の粗い粒に含まれている地下水の間隙を、浮力によって上へと移動していきます。原油が移動していく経路上に、液体を多く含むことのできる隙間の多い岩石(貯留岩)を、液体を通しにくい地層(シール)がフタをしたように覆っている地形があると、そこに原油が溜まっていきます。原油は地下の洞窟や穴などに池のように溜まっているわけではなく、水といっしょに貯留岩の隙間を満たしているのです。このように、フタの役割をする地層を帽岩(ぼうがん)といい、原油がほかに移動しないように閉じ込めるような地質構造をトラップといいます。
原油が貯蔵さてる場所
原油やガスが貯蔵されている場所は、地層が褶曲(しゅうきょく)し、背斜(はいしゃ)構造になっています。褶曲とは、プレート運動による圧縮力が地下で長時間にわたって加わることで、地層が波のように変形する現象です。そして、褶曲した地層の谷になった部分を向斜(こうしゃ)、山になった部分を背斜といいます。
褶曲の背斜部に帽岩がフタ状の構造をつくると(背斜トラップ)、その下に原油が集積していくのです。世界の主要な油ガス田の大部分はこの構造になっています。背斜構造での原油は、貯留岩の中に、下から密度の大きい順に、水、原油、ガスと、ほぼ水平に貯留しています。
新潟県に油田・ガス田が多いわけ
日本列島は、海洋プレートの運動によって東西に圧縮され続けているため、新第三紀や第四紀といった新しい時代の地層が北北東から南南西に伸びる大きな褶曲構造をなしています。その結果、新潟の中越地方から上越地方を中心とした日本海にかけての地域で褶曲構造が発達し、油ガス田地帯が形成されているのです。
『新潟のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から新潟県を分析!
新潟県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。新潟の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1 地図で読み解く新潟の大地
・新潟の地質・地形概論(「米納津隕石、櫛池隕石」)
・約3000万年前に誕生した佐渡島 火山や地殻変動の痕跡がいっぱい!
・かつて圧倒的な産出量を誇った佐渡島の金銀山が生まれた秘密
・プレートの沈み込みが生む奇跡!糸魚川地域でヒスイが採れるわけ
・ヒスイ峡に3億年前のサンゴ礁!? 石灰岩でできている明星山の秘密
・日本列島を分断する見えない溝 フォッサマグナとはいったい何か?
・最長70㎞で10列をなす新潟砂丘は信濃川と阿賀野川がつくった!?
・約40年前から形成され始めた中津川に広がる河岸段丘の絶景
・約1000万年前の海底火山が生んだ新潟市・間瀬海岸の奇岩や沸石
・上信越高原国立公園・清津峡 圧巻の渓谷と柱状節理ができるまで
・産出量は文句なしの全国1位! 新潟県に油ガス田が多いわけ
・約300万年で2000mも隆起! 八海山が秘める地殻変動のすごさ
Part.2 新潟を駆ける充実の交通網
・東京と新潟をいかにして結ぶか?直江津線として生まれた信越本線
ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。
Part.3 新潟の歴史を深読み!
・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟
Part.4 新潟で育まれた産業や文化
・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業
『新潟のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!