トップ > カルチャー >  甲信越 > 新潟県 >

新潟砂丘はいつどのようにしてできたのか?

砂丘は陸側から新砂丘Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3群に分類され、それぞれの砂丘列は、陸側から新砂丘Ⅰが1~4,Ⅱが1~4、Ⅲが1~2に区分されています。新砂丘とは完新世(約1万1700年前から現在まで)に形成された砂丘のことです。さらに新砂丘ⅠとⅡは、内陸に向かって凸型、新砂丘Ⅲは信濃川河口付近を頂点として海に向かって凸型をしています。
新砂丘の形成年代は、もっとも古いⅠが約7600~4800年前、Ⅱが約4600~1400年前、Ⅲが約1800~900年前と考えられています。Ⅰは信濃川、Ⅱは阿賀野川が運んだ土砂などによって形成されたもので、さらにもっとも新しいⅢは、ⅠとⅡを陸側に押し込み、新潟砂丘西端部などの周辺部では収れんし、新砂丘ⅠとⅡに覆いかぶさっています。

新潟砂丘が形成されるまで

海岸砂丘が形成されやすいのは、海面が低下している時期(海退期)です。砂丘は内側のものほど古く、これは海岸線が徐々に海側へ後退していった(海退した)ことを表しています。

約2万年前の最終氷期の最盛期には、日本海の海水面は今よりも約100mも低く、現在、越後平野と呼ばれる地域の海岸線はかなり沖合いにありました。氷期が終わると氷河が溶けて、海水面が上昇。約7600~4600年前には、新砂丘Ⅰの発達で現在の越後平野に近い形になっていきました

新潟砂丘の形成年代に違いがあるのは気候変動の影響

砂丘の形成年代に隔たりがあるのは、砂の供給が止まっていた時期があるからです。土砂が固定し、砂丘が形成された時期には、海岸線が海側に退き陸地が相対的に上昇(離水)していたことになります。

そのおもな原因は、新砂丘Ⅰは縄文時代、Ⅱは古墳時代以前、Ⅲは室町時代以前における、気候変動による海面の低下だと考えられています。

新潟砂丘の形成により中州に移転した市街地

江戸時代初期、新潟の町は今よりも海岸寄りの、信濃川と阿賀野川の河口が合流する砂丘の際(きわ)にありました。この町は「古新潟」と呼ばれ、信濃川をさかのぼれば信州、阿賀野川をさかのぼれば会津という水運の良さを生かし港町として栄えていました。

しかし、年々信濃川が運ぶ土砂が堆積して、川底が浅くなり、船による輸送が難しくなってしまいます。そこで町を海岸の砂丘の際から、現在の新潟市街がある中州へ移動させたのでした。

『新潟のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から新潟県を分析!

新潟県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。新潟の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く新潟の大地

・新潟の地質・地形概論(「米納津隕石、櫛池隕石」)
・約3000万年前に誕生した佐渡島 火山や地殻変動の痕跡がいっぱい!
・かつて圧倒的な産出量を誇った佐渡島の金銀山が生まれた秘密
・プレートの沈み込みが生む奇跡!糸魚川地域でヒスイが採れるわけ
・ヒスイ峡に3億年前のサンゴ礁!? 石灰岩でできている明星山の秘密
・日本列島を分断する見えない溝 フォッサマグナとはいったい何か?
・最長70㎞で10列をなす新潟砂丘は信濃川と阿賀野川がつくった!?
・約40年前から形成され始めた中津川に広がる河岸段丘の絶景
・約1000万年前の海底火山が生んだ新潟市・間瀬海岸の奇岩や沸石
・上信越高原国立公園・清津峡 圧巻の渓谷と柱状節理ができるまで
・産出量は文句なしの全国1位! 新潟県に油ガス田が多いわけ
・約300万年で2000mも隆起! 八海山が秘める地殻変動のすごさ

Part.2 新潟を駆ける充実の交通網

・東京と新潟をいかにして結ぶか?直江津線として生まれた信越本線

ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。

Part.3 新潟の歴史を深読み!

・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟

Part.4 新潟で育まれた産業や文化

・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業

『新潟のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  甲信越 > 新潟県 >

この記事に関連するタグ