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「おくのほそ道」で歩いた山形:尾花沢を目指し最大の難所”山刀切峠”へ

尾花沢(おばなざわ)にいくため、松尾芭蕉は山刀伐峠(なたぎりとうげ)にさしかかります。山刀伐峠は、うっそうと木々が茂っていて昼でも暗く、『おくのほそ道』最大の難所といわれています。そのうえ山賊が出るということで、短刀を携えた若者に道案内を頼みました。石につまずき、冷や汗をかきながら、なんとか無事に峠を越えます。

尾花沢での一句

5月17日、尾花沢に入ります。紅花で財をなした豪商で、風流人として知られる鈴木清風(せいふう)に迎えられ、現地の俳人たちと交流して10日間滞在。松尾芭蕉は大いにくつろいだようで、「涼しさを我わが宿やどにしてねまる也」と句を残しています。

「おくのほそ道」で歩いた山形:立石寺での一句

人々のすすめにしたがい、松尾芭蕉は立石寺(りっしゃくじ)へ向かいます。早朝に尾花沢を出発し、明るいうちに立石寺に到着しました。御堂が立つ山上まで階段を上ると、岩山がそびえ、松や柏の老木が茂る絶景が広がっていました。ここで詠まれた句が、有名な「閑しずかさや岩にしみ入る蝉の声」です。

最上川での一句

翌日、松尾芭蕉は河岸集落として栄えた大石田(おおいしだ)に入り、俳人の高野一栄(いちえい)の家に3泊します。ここで催された句会で、松尾芭蕉は「五月雨を集めて涼し最上川」と詠みました。大石田を出た松尾芭蕉は、本合海(もとあいかい)から新庄を経て清川(きよかわ)へと、舟で最上川を下ります。舟の速さが印象に残ったのか、先の句はのちに「五月雨を集めて早し最上川」と改められました。

「おくのほそ道」で歩いた山形:出羽三山~鶴岡~酒田を後に新潟へ

清川で上陸した松尾芭蕉は、南谷(みなみだに)別院に滞在し、羽黒山・月山・湯殿山の三山を巡ります。そして鶴岡にある庄内藩士・長山重行(ながやまじゅうこう)の家に3泊したあと、舟で酒田へ下ります。酒田では医師の伊東玄順(いとうげんじゅん)(俳号・不玉(ふぎょく))の家に泊まります。松尾芭蕉が酒田で詠んだ句「暑き日を海に入れたり最上川」からは、暑い夏の夕方、日本海に太陽が沈む情景が浮かんでくきます。酒田を出た松尾芭蕉は、象潟(きさかた:秋田)に寄ると、新潟方面へ向かい山形の地をあとにしました。

尾花沢や出羽三山、酒田などを巡り、芭蕉は40日あまりを山形県域で過ごしました。

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Part.1 地図で読み解く山形の大地

・出羽富士・鳥海山の成り立ちと火山がもたらす湧水や地形
・山形盆地の成り立ちと扇状地に発展した県都・山形市
・大江町の最上川川床で発見!ヤマガタダイカイギュウって何だ!?
・河川がつくった肥沃な庄内平野を35㎞におよぶ庄内砂丘が守る
・最上川・五百川峡谷の誕生と流域に形成された河岸段丘
・どうやって誕生し段丘が発達?山形唯一の有人離島「飛島」の謎
・冬の名物・美しい樹氷はどうして蔵王山に形成されるのか?

…などなど山形のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山形を駆け抜ける鉄道網

・急勾配と豪雪を克服し新庄へ至る全国初のミニ新幹線・山形新幹線
・急峻な板谷峠で奥羽山脈越え!逞しき幹線・奥羽本線の今昔
・九州~北海道の貨物車両が走り日本海縦貫線をなす羽越本線
・日本初の交流電化路線にして今や貨物の重要路線の仙山線
・最上川の絶景峡谷を走る!新庄と余目を結ぶ陸羽西線
・三山・高畠・尾花沢の3路線 山形交通の鉄道路線網とは?

…などなど、山形ならではの交通事情を網羅。

Part.3 山形で動いた歴史の瞬間

・木の実でつくったクッキーも!? 山形県域の縄文時代
・和人が蝦夷の領域へと進出! 城柵から見る開拓の歴史
・鎌倉御家人が地頭として進出! 次第に激化する権力争い
・伊達氏との対立を経て統治者に君臨した最上氏の栄枯盛衰
・街道と航路が整備され 発展する沿道の産業と商業
・領主交代に領民が抵抗! 天保の国替え反対一揆とは?
・異名は鬼県令!? 初代県令三島通庸が推進した土木工事

…などなど、激動の山形の歴史に興味を惹きつける。

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