7世紀頃のヤマト王権の支配領域は日本海側では越国（こしのくに）（高志国）まで。現在の新潟県あたりに相当し、ヤマト王権に従わないその他の地域やそこに住まう人々は「蝦夷（えみし）」と呼ばれ区別されていました。
647（大化3）年、中央府は蝦夷との国境として渟足柵（ぬたりのき）（新潟県新潟市東区あたりと推測）を築きました。柵（さく、き）とは防衛施設であるとともに、その地方を治めるための行政施設としての役割も担っていた城柵（じょうさく）のことを意味しています。つまり中央府にとっては、現在の新潟北部あたりが支配域の「北限」であり、それより先を「蝦夷」と認識していたと考えられます。

翌648（大化4）年には磐舟柵（いわふねのき）（新潟県村上市）が築かれ、さらには658（斉明４）年には都岐沙羅柵（つきさらのき）が設けられます。都岐沙羅柵の所在地は不明ですが、鼠ヶ関木野俣（ねずがせきやきのまた）（ともに鶴岡市）あたりだと推測されており、同年に都岐沙羅柵の造（みやつこ）（長官）と判官（ほうがん）（三等官）が進階（出世）しており、この年までに城柵周辺の民生を安定させたことがうかがい知れます。このような城柵を拠点として、ヤマトはさらに北へ、北へと勢力圏を広げていきました。

ヤマト王権の勢力圏が広がるとともに、北へ新たな城柵が設けられていきました。黄線でヤマト王権の支配域を示した（数字は年代）。
『日本史年表・地図 第25版』（吉川弘文館、2019年）を元に作成。

東北地方の蝦夷征服策を推し進める中央府は、708（和銅元）年に越後国の要請を受けて同国内に出羽郡（いではぐん）を設置。「出羽」の名称は、越後国の“出端（では）”という意味と考えられています。翌年に出羽柵（庄内地方）を築くと、出羽郡から庄内地方へと軍事行動を展開し、712（和銅5）年に出羽国が設置されました。

出羽国の領域は陸奥国から2郡（最上・置賜）を割き、そこに出羽郡を加えます。そして、国府として城輪（きのわ）（酒田市城輪）に城柵が設けられるのでした。

律令制のもと、全国に駅と道路が整備されていきました。出羽国において特徴的なのは、水上交通の拠点である水駅が設けられたことです。
『図説 山形県の歴史』（河出書房新社、1996年）を元に作成。

山寺立石寺（やまでらりっしゃくじ）は860（貞観2）年に清和天皇の命を受け、中尊寺（岩手県西磐井郡）や浅草寺（東京都台東区）を開いた円仁（えんにん）によって開かれました。現在の根本中堂は正平年間（14世紀）に再建されたもので、ブナ材の建築物としては日本最古とされています。

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