【山形の古代】縄文時代
やがて氷河期が終わって気候が安定し、縄文時代に入ります。縄文時代と旧石器時代の違いとしては、土器と弓矢の使用、磨製(ませい)石器の使用、定住化、貝塚の形成といった諸要素が挙げられています。
大型獣が姿を消したことで人々は食料として森の木の実に注目し、採集した食糧の貯蔵や煮沸用に土器を用いるようになりました。約1万6000年前から約3000年前にあたる縄文時代には、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期と6つの時代区分があり、これらは縄文土器の編年区分に準拠しています。そして、この編年区分に大きな影響を与えたのが、東置賜郡高畠町(たかはたまち)の日向(ひなた)洞窟です。
日向洞窟とは
米沢盆地の北東にある白竜湖(南陽市)の周辺には大谷地(おおやち)と呼ばれる低湿地帯が広がっており、その東端の斜面に突き出た洞窟遺跡が日向洞窟であり、約1万年前には人々が住居として利用していました。
1955(昭和30)年からの発掘調査では、日向洞窟から微隆起線文土器や押圧(おうあつ)縄文土器が出土します。微隆起線文土器は細い竹状のもので文様をつけたもので、日本最古の土器形式とされ、縄文時代に「草創期」という時代区分を設けるきっかけとなりました。
【山形の古代】稲作
山形県域には日本海を伝って比較的早くに稲作が伝わり、たとえば生石(おいし)2遺跡(酒田市)からは炭化した米が発見されています。しかし、最上川流域では温暖化で村落が水没し、さらにその後の寒冷化によって稲作が困難になりました。
これまでに山形県内では、弥生時代の水田跡や木製農具は発見されていません。
山形の古代のおもな遺跡
最上川を中心に文化がめばえ、発展していった。北九州で生まれた弥生文化は、日本海を通じて庄内地方から内陸へと伝播。古墳からはヤマト王権の影響力の伸長を読みとることができます。
【山形の古代】古墳時代
山形県域で古墳がつくられるようになったのは古墳時代中期からで、4世紀末には山形県内最大の前方後円墳・稲荷森(いなりもり)古墳(南陽市)が造営されます。埋葬施設は未確認で被葬者は明らかになっていませんが、置賜地方を支配した当時の首長の墓であると考えられています。
なお、前方後円墳はヤマト王権の影響下にある地域で築造が許されたものであり、ヤマト王権が山形県域にまで及んできていたことがわかります。
山形での律令国家以降
大化の改新を経て律令国家が成立すると、712(和銅5)年には出羽国(でわのくに)が設置されました。出羽国は、中央府がさらに北へと蝦夷(えみし)侵攻を進めていくうえで前線拠点としての役割を担いました。
平安時代には山形県域には12の荘園(しょうえん)が成立していきます。このうち大泉荘(おおいずみのしょう)は現在の鶴岡市東部から東田川郡(ひがしたがわぐん)北西部にかけての広い地域にわたっており、後世には「大泉荘の内」の意味で「庄内(しょうない)」という地域名が用いられるようになりました。
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・山形盆地の成り立ちと扇状地に発展した県都・山形市
・大江町の最上川川床で発見!ヤマガタダイカイギュウって何だ!?
・河川がつくった肥沃な庄内平野を35㎞におよぶ庄内砂丘が守る
・最上川・五百川峡谷の誕生と流域に形成された河岸段丘
・どうやって誕生し段丘が発達?山形唯一の有人離島「飛島」の謎
・冬の名物・美しい樹氷はどうして蔵王山に形成されるのか?
…などなど山形のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 山形を駆け抜ける鉄道網
・急勾配と豪雪を克服し新庄へ至る全国初のミニ新幹線・山形新幹線
・急峻な板谷峠で奥羽山脈越え!逞しき幹線・奥羽本線の今昔
・九州~北海道の貨物車両が走り日本海縦貫線をなす羽越本線
・日本初の交流電化路線にして今や貨物の重要路線の仙山線
・最上川の絶景峡谷を走る!新庄と余目を結ぶ陸羽西線
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・木の実でつくったクッキーも!? 山形県域の縄文時代
・和人が蝦夷の領域へと進出! 城柵から見る開拓の歴史
・鎌倉御家人が地頭として進出! 次第に激化する権力争い
・伊達氏との対立を経て統治者に君臨した最上氏の栄枯盛衰
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