米坂線の歴史と魅力
米坂線は、1926(大正15)年9月に米沢〜今泉間が開業したのが始まりで、1931(昭和6)年8月に手ノ子(てのこ)駅まで延長。このとき米坂東(よねさかとう)線に改称され、同時に米坂西(よねさかさい)線として坂町〜越後下関(えちごしもせき)間が開業しました。東西から工事が進められ、米坂東線は1933(昭和8)年11月に羽前沼沢(うぜんぬまざわ)駅、1935(昭和10)年10月に小国(おぐに)駅まで、米坂西線は1933(昭和8)年11月に越後金丸(えちごかなまる)駅まで延伸開業し、1936(昭和11)年8月に小国と越後金丸をつなぎ全通。このとき再び、路線名が米坂線となりました。
全線にわたりローカル色の豊かな路線で、水田の広がる米沢盆地、険しい宇津峠(うつとうげ)を越え、北は標高1871mの大朝日岳(おおあさひだけ)、南は2105mの飯豊山(いいでさん)に続く山中を走り、山形県境を越えて坂町を目指します。沿線は有数の豪雪地帯でもあり、羽前沼沢駅では530㎝の積雪記録があります。春は新緑、秋は紅葉が見事で、磐梯朝日(ばんだいあさひ)国立公園内の赤芝峡(あかしばきょう)(小国町)や荒川峡(新潟県関川村)など、美しい車窓が見られます。
米坂線の全路線
米坂線は、もともと小国以東を米坂東線、越後金丸以西を米坂西線と呼び、両駅を結んで誕生。米沢と坂町間の90.7㎞を20駅で結んでいます。沿線は、北には朝日連峰、南に飯豊山地が連なる険峻なエリアで、列車は最上川の支流や荒川やその支流がつくった谷筋を縫うようにして走ります。
米坂線を走る車両はハ110系気動車とGVE400系
車両は、キハ110系気動車と最新のGVE400系を使用しています。GV-E400系は2019(令和元)年にデビューした電気式気動車で、ディーゼルエンジンで発電しインバータ制御でモーターを駆動させ走行します。出力は大きく登坂性能も高いので勾配に強い。車内は中央部にクロスシートを配置、ほかをロングシートにしたセミクロスシートで、米坂線のものは車内のインテリアが新潟カラーの「トキピンク」で彩られています。
米坂線を走る急行「べにばな」
列車は普通列車のほか、羽越本線・白新(はくしん)線経由で米沢〜新潟間を結ぶ快速「べにばな」(米坂線内は各駅に停車)が走ります。
快速「べにばな」の前身は、仙台〜新潟間を結んだ準急(のちに急行)「あさひ」で、本州横断線の優等列車として重責を担っていました。「あさひ」は朝日岳から命名されたもので、同区間には磐越西(ばんえつさい)線経由の「あがの」も運転されていましたが、米坂線経由の「あさひ」は最短距離で結んでいました。しかし「あさひ」の愛称は1982(昭和57)11月に開業した上越新幹線の速達列車へ譲ることになり、急行「べにばな」に変更されました。愛称は山形の「県の花・紅花」にちなんだものです。
急行「べにばな」は仙台〜新潟間を249.8㎞を5時間以上かけて走っていましたが、のちに運転区間を山形〜新潟間に縮小。さらに前述の通り、山形新幹線建設による改軌で直通運転ができなくなり、工事が始まった1991(平成3)年8月に現行の快速列車に改められました。以降は地域輸送に特化した列車となりますが、「べにばな」の愛称は残され往年の風格を残し走り続けています。
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・山形盆地の成り立ちと扇状地に発展した県都・山形市
・大江町の最上川川床で発見!ヤマガタダイカイギュウって何だ!?
・河川がつくった肥沃な庄内平野を35㎞におよぶ庄内砂丘が守る
・最上川・五百川峡谷の誕生と流域に形成された河岸段丘
・どうやって誕生し段丘が発達?山形唯一の有人離島「飛島」の謎
・冬の名物・美しい樹氷はどうして蔵王山に形成されるのか?
…などなど山形のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 山形を駆け抜ける鉄道網
・急勾配と豪雪を克服し新庄へ至る全国初のミニ新幹線・山形新幹線
・急峻な板谷峠で奥羽山脈越え!逞しき幹線・奥羽本線の今昔
・九州~北海道の貨物車両が走り日本海縦貫線をなす羽越本線
・日本初の交流電化路線にして今や貨物の重要路線の仙山線
・最上川の絶景峡谷を走る!新庄と余目を結ぶ陸羽西線
・三山・高畠・尾花沢の3路線 山形交通の鉄道路線網とは?
…などなど、山形ならではの交通事情を網羅。
Part.3 山形で動いた歴史の瞬間
・木の実でつくったクッキーも!? 山形県域の縄文時代
・和人が蝦夷の領域へと進出! 城柵から見る開拓の歴史
・鎌倉御家人が地頭として進出! 次第に激化する権力争い
・伊達氏との対立を経て統治者に君臨した最上氏の栄枯盛衰
・街道と航路が整備され 発展する沿道の産業と商業
・領主交代に領民が抵抗! 天保の国替え反対一揆とは?
・異名は鬼県令!? 初代県令三島通庸が推進した土木工事
…などなど、激動の山形の歴史に興味を惹きつける。
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