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日照時間日本一の明野町は昔から好天率が高かった
この地域には「茅ヶ岳には雲がかからない」という言い伝えがあり、古くから晴天率が高かったようです。
その理由は明野町の低地に流れている塩川の川沿いで一年を通じて吹いている風により、上昇気流が起こりにくくなっており、茅ヶ岳に雲がかからないためだといわれています。
明野町の日照時間が日本一と実証したのは中学生!
言い伝えを実証し、明野町の日照時間が「日本一」であることを知らしめたのは、意外にも地元の中学生たちです。
アメダスが設置されている地域気象観測所は、近隣の大泉(北杜市大泉町)、韮崎(韮崎市大草町)にはありますが、明野町にはありません。明野町では、地域の基礎的な気象データを収集するために、1980(昭和55)年に独自の気象観測所を設置して観測を開始しました。観測は明野中の生徒が行い、1981(昭和56)年の7月に「日照時間日本一」を証明しました。
明野町の日本一の日照時間はかつての日本一の平均値を大きく上回る
そもそも、山梨県の盆地部分では、四方を囲む山が雨雲や海からの湿った空気の進入を防ぐため、日照時間が長くなるといわれており、気象庁の観測値によると、2018(平成30)年の甲府市の年間日照時間は2391.3時間と全国1位、また1981年~2010年までの30年間の観測値(平年値)においても、甲府市の年間日照時間は平均で2183時間と、県庁所在地で全国1位となりました。
1981(昭和56)年に明野町の明野中学が観測した「日本一」の日照時間は2939.5時間と、その平均値を750時間以上も上回るのですから、この地がいかに太陽光に恵まれているのかがわかります。
明野中学校による気象観測は現在も続いており、そのデータは、地域の産業や防災、町おこしなどに生かされています。
盆地と山岳部で異なる降水量
山梨県の気候特性は、人が多く住む盆地部分は「内陸気候」、 富士山や南アルプスをはじめ、四囲の山岳地域の気候は「山岳気候」に区分されます。
日照時間が長い盆地部の年間降水量は1000mm程度ですが、富士五湖地域や富士川流域の山岳地では、2000mmに達するところもあり、少雨地域と多雨地域が混在しています。そのため、年間の日照時間も地域によって大きく異なり、一概に「日照時間日本一の県」とは言えないのです。
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Part.1 地図で読み解く山梨の大地
・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」
…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網
・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号
…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間
・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”
…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。
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