【富士五湖形成の歴史】成り立ち
今から9000年ほど前、富士山で大きな噴火が起き、せき止められた溶岩によって最初に生まれたのは、現在の山中湖から忍野盆地付近にかけてできた「宇津湖(うつこ)」と、西湖から本栖湖あたりにできた「剗の海(せのうみ)」の2つの湖と言われており、これが富士五湖のもととなりました。
【富士五湖形成の歴史】富士山が大噴火した「延暦大噴火」
その後、平安時代の800(延暦19)年に「延暦大噴火」と呼ばれる大きな噴火が起きます。『日本紀略』の記録によると「噴火は同年の3月14日から4月18日まで1カ月以上も続き、昼は噴煙が空を覆って辺りを暗くし、夜は噴き上げる火が天を明るく照らし出す。噴火の音は雷のように大きく、灰は雨のように降り注ぐ。溶岩は山下の川に流れ込んで真っ赤に染める」とあります。
それほどの大きな噴火によって、宇津湖は現在の山中湖と「古忍野湖(こおしのこ)」と呼ばれる湖に分かれます。古忍野湖は徐々に水が干上がって忍野盆地となり、ところどころに湧き出す忍野八海がその名残りを留めています。
【富士五湖形成の歴史】現在の形になるまで
一方の剗の海は同じ噴火で本栖湖と分かれます。さらに剗の海から溢れた湖水や山腹の流水が合流し、旧桂川がせき止められてできたのが河口湖です。
剗の海は、その後の864(貞観6)年の噴火で西湖と精進湖に分かれ、現在の富士五湖の形となりました。西湖、精進湖、本栖湖ついては水位がほとんど同じで、増水や減水が同じように起こることから、地中では地下水を通じてつながっているという説が有力です。
富士五湖は今も多くの人を魅了する
2つの噴火によって生み出された富士五湖のスぺクタクルは、今も訪れる多くの人々を魅了し続けています。
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Part.1 地図で読み解く山梨の大地
・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」
…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網
・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号
…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間
・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”
…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。
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