目次
山梨で「ほうとう」が食べられるようになった歴史
ほうとうが食べられるようになった背景には、山梨の気候や風土が深く関わっています。もともと山梨は雨が少なく、稲作に向かない地域で、米は貴重でした。戦国時代の石臼からは、ほうとうの起源となる麺類が作られていたあとも見つかっています。
より一般的になったのは近代以降。明治維新後の殖産興業政策で養蚕が盛んになり、県内の畑で桑の栽培が推奨されるようになります。その裏作として麦が作られ、その結果、ほうとうやおやき、おねりといった粉もの料理が広まったとされます。
「ほうとう」の特徴
ほうとうの特徴は太く平たい麺ですが、塩を入れずにこねるという点でも、うどんやきしめんと大きく異なります。“ゴンパチ”と呼ばれる木製のこね鉢に小麦粉と水を合わせて練り、のし棒で伸ばしてから折り重ねて包丁で切ります。生地を寝かせる工程がないため、うどんやきしめんに比べてコシが少なく、ほうとう特有の食感が生まれます。
「ほうとう」の語源とバリエーション
「ほうとう」の語源については所説あります。中国の「餺飥(はくたく)」に由来するというもの、1000年以上前に中国からもたらされた「不托(ぷーとー)」が起源ではないかとするもの、武田信玄の「宝刀(ほうとう)」から付けられたものなどが伝えられていますが、いずれも定かではありません。
また、冷たいほうとうの「おざら」、温かいつけ麺の「ゆもり」、富士川町では形状が異なる「みみ」、ほうとう麺にラーメン風スープを組み合わせた笛吹市の「ラーほー」など、地域や季節によって違いがあり、あるいは時代とともに進化しているのも興味深いものです。
もちろん、ほうとうは学校給食でも人気。子どもたちの記憶の中にもほうとうは懐かしくておいしい故郷の味として、しっかり刻み込まれていくことでしょう。
山梨は「ほうとう」だけじゃない!日本一硬い麺!吉田のうどん
ほうとうと並ぶ山梨の名物「吉田のうどん」。これは富士吉田市を中心に食べられているうどんですが、同じ山梨県にあって、ほうとうとはあらゆる点で違うのが面白いところ。
コシがないほうとうの麺に比べ、吉田のうどんは「日本一硬い?」ともいわれるほどコシが強いのです。また、汁は醤油味、ゆでキャベツや甘辛く煮た馬肉を入れる、「すりだね」と呼ばれる薬味を入れるなど、富士吉田ならではの特徴もあります。ぜひ、両方を味わい比べてみたいものです。
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Part.1 地図で読み解く山梨の大地
・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」
…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網
・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号
…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間
・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”
…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。
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