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野見宿禰の相撲は現在とは別物

もっとも、起源とされるふたつの相撲は、現在の相撲とは大きくことなっていました。『古事記』の相撲は、タケミカヅチが手を氷柱に、さらに剣に変えてタケミナカタを軽くあしらうという人知を超えた超自然的な力を使います。

『日本書紀』の相撲も、互いに蹴り合い、野見宿禰が當麻蹴速の骨を蹴り折り、腰を踏み砕いて殺してしまうという、ルール無用の単なる力比べでした。

野見宿禰出身の出身地は諸説ある

これに勝利し、大和国當麻の地を賜って垂仁天皇に仕えた野見宿禰は、出雲のスターとでもいうべき存在ですが、じつは奈良県桜井市出雲の出とする説もあります。島根の出雲からその日のうちに大和に来て力比べをするには無理があるというのが主な根拠です。

野見宿禰の墓所は各地に

奈良には野見宿禰の墓所がありますが、墓所は鳥取や島根にもあるほか、兵庫県にも伝わっています。『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』には、野見宿禰が播磨国揖保郡立野(いぼぐんたつの)で病死し、この地に埋葬されたと記されています。播磨を通って都と出雲を行き来したとすれば、やはり出雲出身として筋が通ります。

また、平安時代に編纂された『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』や『続日本紀(しょくにほんぎ)』によれば、野見宿禰は出雲大社宮司家の祖とされるアメノホヒの14世孫だといいます。このように、アメノホヒは出雲国造家であるという記録もあり、島根の出雲出身説を補強しているのです。

野見宿禰から続く島根の相撲文化

神話時代の伝承から相撲にゆかりのあった島根には、近世にも相撲に大きく貢献した人物がいました。「不昧公(ふまいこう)」の名で親しまれる松江藩中興の祖・7代藩主松平治郷(はるさと)です。不昧公は大の相撲好きで、勝率9割6分2厘の最強の力士と名高い雷電為右衛門(らいでんためえもん)など、強い力士を多く召し抱えていました。松江藩お抱えの力士が相撲界を席巻した時代があったのです。

そもそも不昧公が相撲好きだったのも、出雲国が相撲の発祥地であったからだという。

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から島根県を分析!

島根県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。島根の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く島根の大地

・「弁当忘れても傘忘れるな」な島根の天気
・山陰地方と呼ばれるのは島根県と鳥取だけ?
・水質の良い一級河川「高津川」と大井谷の棚田
・隠岐諸島の「レッドクリフ」をはじめとする島々
・三県境と全国5番目に広い湖「中海」と7番目の「宍道湖」
・全盛期は東アジア最大、世界で2位の産銀量「石見銀山」は港まで続いていた?
・東京ドームほどの海浜公園「石見畳ヶ浦」

ほか

Part.2 島根を駆ける充実の交通網

・「銀の道」さらに「うなぎ街道」「鯖街道」とは?
・朝廷への情報伝達に使われた「官道」とは?
・土木学会が指定した土木遺産「福浦トンネル」
・一畑電鉄と一畑駅、大社線と大社駅
・Mランドドライビングスクールとは?
・JR木次線の「三段式スイッチバック」とは?
・島根の旧三江線トロッコ、初めて県境越え広島へ
・奥出雲おろちループ
・古代山陰道
・「ベタ踏み坂」江島大橋
・未成線広浜鉄道
・神にまつわる名前のついた10の駅
・最後の寝台列車サンライズ出雲

ほか

Part.3 島根の歴史を深読み!

・『日本書紀』『古事記』から神々を知ろう
・古墳も多い島根県
・『出雲国風土記』の世界「黄泉の穴」
・出雲大社を筆頭とする様々な「神社」
・「出雲」「石見」「隠岐」から「島根に」
・山陰のモンサンミッシェル?こと宮ケ島 衣毘須神社
・出雲の方言 東北の訛りとの共通点
・なぜ津和野町に「森鴎外記念館」が?「小京都」と呼ばれるわけ
・歴史的大打撃「廃仏毀釈」で失われたモノ
・島流しといえば「隠岐」?
・江戸時代の島根県、松江藩による出雲平野の開拓

ほか

Part.4 島根で育まれた産業や文化

・「相撲」発祥の地と言われる出雲
・名湯の多い島根県
・継承される多くの神楽と安来節
・歌舞伎の原型になったとされる「阿国歌舞伎」
・「玉鋼」と「たたら製鉄」と黒曜石
・日本で唯一「黄長石霞石玄武岩」を産出
・小泉八雲の作品と小泉邸

ほか

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