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三段式スイッチバックによる運行の流れ
出雲坂根駅を折り返し方向に出発した列車は引き込み線を上り、切り替えポイントを過ぎると一旦停車。中国地方でも有数の豪雪地帯なので、冬季にポイントを雪から守るため、ポイントには雪よけの屋根・スノーシェッドが設けられています。再び進行方向を変えるため運転士が反対側の運転席へと移動します。発進した列車はディーゼルエンジンの音を響かせ、山を巻くように迂回しながら小規模なトンネルを9つも経て三井野峠を上っていきます。
この区間に三段式スイッチバックが設けられたのは急勾配を乗り越えるためですが、当初は三井野峠の下にトンネルを掘る構想もあったといいます。ですが、峠の地質がトンネル工事に不向きだったことや、予算不足などからこの案は見送られ、スイッチバックが採用されました。
三段式スイッチバック建設はトンネルも含め大工事
それでも、スイッチバック以南のトンネル建設で大断層や湧水などに見舞われ、工事は困難を極めます。この区間を含む八川(やかわ)駅〜備後落合(びんごおちあい)駅の開業は1937年12月12日で1934年1月のスイッチバックの着工から実に4年弱をかけた大工事でした。木次線は広島県との県境を越えて備後落合駅で芸備線(げいびせん)に接続し、山陰と山陽を結ぶ陰陽連絡の路線となります。開通当時は駅がなかった三井野原は1949年に冬季スキー客のための仮乗降場として開業し、1958年に駅に昇格しました。
スイッチバックには急勾配を上るための三段式以外にも、一畑電車一畑口駅のような平地での折り返し型などがあります。
三段式スイッチバックを体感するなら「観光トロッコ列車奥出雲おろち号」がおすすめ
木次線三段式スイッチバックの区間に乗車するには、毎年春〜秋の週末を中心に運行される臨時列車「観光トロッコ列車奥出雲おろち号」がおすすめです。窓ガラスがない開放的な車両で景色を存分に楽しむことができます。臨時列車以外の定期運行ダイヤでは、三段式スイッチバックを含む区間(出雲横田駅〜備後落合駅)は1日3往復のみなので、事前にダイヤをチェックしておくといいでしょう。
なお、奥出雲おろち号は車両の老朽化を理由に、2023年度を最後に運行終了の方針がJR西日本より打ち出されています。
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Part.1 地図で読み解く島根の大地
・「弁当忘れても傘忘れるな」な島根の天気
・山陰地方と呼ばれるのは島根県と鳥取だけ?
・水質の良い一級河川「高津川」と大井谷の棚田
・隠岐諸島の「レッドクリフ」をはじめとする島々
・三県境と全国5番目に広い湖「中海」と7番目の「宍道湖」
・全盛期は東アジア最大、世界で2位の産銀量「石見銀山」は港まで続いていた?
・東京ドームほどの海浜公園「石見畳ヶ浦」
ほか
Part.2 島根を駆ける充実の交通網
・「銀の道」さらに「うなぎ街道」「鯖街道」とは?
・朝廷への情報伝達に使われた「官道」とは?
・土木学会が指定した土木遺産「福浦トンネル」
・一畑電鉄と一畑駅、大社線と大社駅
・Mランドドライビングスクールとは?
・JR木次線の「三段式スイッチバック」とは?
・島根の旧三江線トロッコ、初めて県境越え広島へ
・奥出雲おろちループ
・古代山陰道
・「ベタ踏み坂」江島大橋
・未成線広浜鉄道
・神にまつわる名前のついた10の駅
・最後の寝台列車サンライズ出雲
ほか
Part.3 島根の歴史を深読み!
・『日本書紀』『古事記』から神々を知ろう
・古墳も多い島根県
・『出雲国風土記』の世界「黄泉の穴」
・出雲大社を筆頭とする様々な「神社」
・「出雲」「石見」「隠岐」から「島根に」
・山陰のモンサンミッシェル?こと宮ケ島 衣毘須神社
・出雲の方言 東北の訛りとの共通点
・なぜ津和野町に「森鴎外記念館」が?「小京都」と呼ばれるわけ
・歴史的大打撃「廃仏毀釈」で失われたモノ
・島流しといえば「隠岐」?
・江戸時代の島根県、松江藩による出雲平野の開拓
ほか
Part.4 島根で育まれた産業や文化
・「相撲」発祥の地と言われる出雲
・名湯の多い島根県
・継承される多くの神楽と安来節
・歌舞伎の原型になったとされる「阿国歌舞伎」
・「玉鋼」と「たたら製鉄」と黒曜石
・日本で唯一「黄長石霞石玄武岩」を産出
・小泉八雲の作品と小泉邸
ほか
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