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【中央本線のスイッチバック遺構①】スイッチバックが今も一部現役の「初狩駅」

初狩駅のスイッチバック構造は、本線から甲府駅方向に分岐して設けられた発着部のプラットホームが本線上に移設され、線路も一部撤去されてはいますが、大部分が昔のまま残されています。これは、東京駅方向に分岐する折り返し線の先にある甲州砕石(株)大月営業所からのバラスト(線路用の砂利)の運搬など、保線用・工事用に運行される臨時貨物列車の発着に時折使用されているためです。

このように、旅客列車の発着に使われなくなって半世紀以上経った今も、初狩駅ではスイッチバック構造がかろうじて生きながらえています

今もスイッチバック構造が残る初狩駅

今もスイッチバック構造が残る初狩駅

本線の北側、甲府駅方向に分岐した線路の先に発着部があり、ここに旅客ホームがありました。

東京駅方向に分岐しているのが、発着部に出入りする列車が進行方向を変えるために入線する折り返し線です。また、この折り返し線の先には甲州砕石の専用線が続いています。

【中央本線のスイッチバック遺構②】スイッチバック跡地が技能教習所に生まれ変わった「笹子駅」

笹子駅では、スイッチバック構造の跡地が、用途を変えて活用されています。隣の初狩駅と同様、プラットホームを本線上に移設した旧発着部の用地が、半分は売却されましたがその残りの部分が、2009(平成21)年に開設されたJR東日本の技能教習所「笹子設備トレーニングセンター」となっています。これは、鉄道の保線、電気、通信などの技術や技能について、実際に近い環境で訓練を行うための施設で、模擬ホームや模擬トンネル、各種のポイントなどが設置されています。

下り本線とは乗越ポイントでつながっていて、その光景は、本線から線路が分岐し発着部に繋がっていた、往年の状況を彷彿とさせます

【中央本線のスイッチバック遺構③】発着部跡地が記念公園になった「勝沼ぶどう郷駅」

1993(平成5)年に勝沼駅から改称された勝沼ぶどう郷駅は、甲府駅方向に勾配となっている初狩、笹子の両駅とは反対に、東京駅方向に上り勾配となっています。

本線から東京駅方向に線路が分岐し発着部が設けられたスイッチバック駅でしたが、現在は発着部の跡地が「鉄道遺産記念公園」として整備されていて、かつてのプラットホームの一部があるほか、中央本線の主力として活躍していたEF64形電気機関車の18号機が静態保存されています。

また、東京駅方向に少し歩いた場所には、1903(明治36)年の中央本線初鹿野(はじかの)駅(現在の甲斐大和駅)~甲府間駅開業から1997(平成9)年まで94年間使われ、2005(平成17)年に土木学会選奨土木遺産となった、旧大日影トンネルもあります。

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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