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富士急行線には「大月線」と「河口湖線」が存在する

富士山駅は大月駅と河口湖駅を結ぶ全長26.6㎞の鉄道、富士急行線内にあります。この鉄道は、列車は原則として大月駅~河口湖駅を通しての運行で、路線名も通常は「富士急行線」としか案内されないので気づきにくいのですが、実は2つの路線に分かれています。

大月駅から富士山駅までの23.6㎞が「大月線」で、富士山駅から河口湖駅までの3.0㎞が「河口湖線」です。とはいえ、実質的にはやはり1本の路線であり、「2つの路線」を実感できるものがあるとしたら、富士山駅が折り返し型のスイッチバック駅となっていて、大月駅行きの列車も河口湖駅行きの列車も、同じ方向に発車していく光景だけかも知れません。

富士吉田市・富士河口湖町内の富士急行大月線・河口湖線

富士吉田市・富士河口湖町内の富士急行大月線・河口湖線

富士山駅は折り返し型スイッチバック構造で、行き止まりとなっています。この駅の手前で東に向かってカーブする大月線の線形に、富士山麓電気鉄道(当時)の開業当初にあったという、山中湖方面への延長計画がうかがえます。

河口湖線の「富士急ハイランド駅」は、1961(昭和36)年12月に「ハイランド駅」の名で開業。当時、国内で駅名表記がカタカナのみの駅は、この駅だけでした。

富士急行線の大月線と河口湖線の歴史

大月線は、2つの馬車鉄道を前身とする軽便鉄道で、かつて大月と富士吉田を結んでいた富士電気軌道を引き継ぎ、そのルート沿いにあらためて建設された本格的な鉄道として1929(昭和4)年6月に開業した路線であり、一方の河口湖線は、第二次世界大戦後の1947(昭和22)年に富士吉田駅(当時)から勝山村(現在の富士河口湖町勝山地区)に至る鉄道として免許を受け、1950(昭和25)年8月に開業した路線です。このように、富士山駅を境として建設された経緯と開業の時期がまったく違うため、富士急行線は2つの路線に分かれているのです。

なお、大月線、河口湖線を開業させた「富士山麓電気鉄道」は、1960(昭和35)年5月に「富士急行」と改称。また、河口湖線の線路が旧勝山村まで延びることはありませんでした。

富士急行線が走る富士山麓の急勾配

富士山駅は富士登山の出発点と書きましたが、そこまで登山客を運ぶ富士急行線の“登山”は、大月駅を出発したときからすでに始まっています。大月駅の標高が358mであるのに対し、富士山駅、河口湖駅の標高はそれぞれ809m、857m。富士山に近づきながら26.6㎞を進むうちに、約500mも上っているのです。30‰を超える勾配が各所にあり、中には40‰の急勾配もあります。

「観光地が沿線にあり、かつ登山鉄道としての性格を有している」という点で共通している、全国の私鉄7社が加盟する「全国登山鉄道‰会」という組織がありますが、富士急行線を運営する富士急行も、そのメンバーとして名を連ねています。

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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