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山梨交通電車線の愛称は「ボロ電」

鉄軌道の路線名は、正式名称の略称や、運営する事業者が付けた通称・愛称で呼ばれることも多くありますが、この路線は、地元の人たちからなんと「ボロ電」と呼ばれていました

社屋や駅が古い、国鉄と比べ無人駅が多く施設も簡素、いつも混雑しているのに単行運転でサービスが良くない、ガタガタと振動が響き乗り心地が悪いといった状況があったことから、それらを揶揄して、かつ親しみも込めて「ボロ電」と呼ばれるようになったらしいのです。

山梨交通電車線の活躍と衰退

そんなボロ電ではありましたが、甲府市と釜無(かまなし)川の右岸にある峡西地域の町村とを結ぶ交通手段として重宝されました。終点の甲斐青柳駅と国鉄身延線鰍沢口(かじかざわぐち)駅との間には連絡バスが走り、山梨県と静岡県をつなぐ幹線の役割も担いました。

ですが、戦後の高度経済成長を背景に道路の整備とバス路線の拡充が進み乗客が減少したことや、1959(昭和34)年に山梨県を襲った2つの台風により軌道施設に大きな被害を受け、復旧費用がかさんだことなどによって業績が悪化。全通からわずか30年後の1962(昭和37)年6月限りで廃止されてしまいました。

山梨交通電車線の痕跡

ボロ電は、甲府駅前駅から甲府市内を流れる荒川を渡ったところまでの2㎞強が道路上を走る併用軌道で、その先は全区間専用軌道でしたが、廃止された専用軌道の跡地は山梨県道5号甲府櫛形線(現在は甲府南アルプス線)などの道路に転用されました。この転用区間は現在でも「廃軌道」と呼ばれていて、甲府市内のバス停名に “(廃軌道)”と付くものが複数あるほか、富士川町内には「長沢廃軌道北」という名の交差点も存在します。

また、富士川町内にある利根川公園に1986(昭和61)年から保存されている旧山梨交通7形電車や、2020(令和2)年に甲府市内の廃軌道沿い、旧貢川駅跡地に整備された「山梨交通電車線跡の碑」が立つミニ公園でも、往年のボロ電の活躍を偲ぶことができます。

廃線・廃線跡を地図から詳しく知るなら『レールウェイマップル』

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1945年(昭和20年)の終戦以降に廃止となった鉄道路線を地図上に表示。かつての路線網の充実ぶりに驚かされます。各廃線にも解説コメントを添えるのはもちろんのこと、歴史的価値の高い建造物や橋梁、隧道(トンネル)などの遺構群のプロットにも注力。日本の発展とともに歩んだ鉄道の歴史を、地図を辿りながら読み解きます。

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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