トップ > カルチャー >  甲信越 > 山梨県 >

【山梨のレトロな鉄道駅舎①】JR東日本・中央本線の日野春駅舎

北杜市にある日野春駅は、1904(明治37)年12月、中央本線の韮崎駅~富士見駅が開業したときに開設された駅で、木造平屋で切妻屋根の駅舎は、一部改築されていますが開業当時からのものです。

七里岩(しちりいわ)と呼ばれる台地を上っていく途中の平坦地にあることから、かつてはこの駅で蒸気機関車への給水を行っていました。駅の構内には、甲府駅~上諏訪駅間が電化された1964(昭和39)年以降も給水塔が残り、古風な佇(たたず)まいの駅舎とあわせ、蒸気機関車が活躍していた頃の中央本線の面影を今に伝えています。

中央本線 日野春駅

中央本線 日野春駅

日野春駅の駅舎は、明治時代の官設鉄道の駅舎の標準的なスタイルを今に伝える貴重な存在。

構内に今も残る蒸気機関車用の給水塔は、駅開業当時から1964(昭和39)の中央本線甲府駅~上諏訪駅間電化まで使用されたもの。高さ約15m、直径約2mのタンクの中に、5749ガロン(ドラム缶約130本分)の水を蓄えることができました。

【山梨のレトロな鉄道駅舎②】JR東海・身延線の南甲府駅舎

南甲府駅は、1928(昭和3)年3月、市川大門駅~甲府駅間の開業で、富士身延鉄道(現在の身延線)が全通したときに開設された駅。1938(昭和13)年10月に、当時の鉄道省が富士身延鉄道を借り上げるまでは甲府南口駅と称しました。

駅舎はやはり開業当時からのもので、富士身延鉄道の本社も入っていたことから、それにふさわしい鉄筋コンクリート造り2階建ての堂々るビルディング。昔の官庁や百貨店を思わせるような“昭和モダン”薫る重厚なスタイルで、かつてはステンドグラスのある貴賓室も備えていました。

身延線 南甲府駅

身延線 南甲府駅

鳥とブドウをモチーフに設計・デザインされたといわれている南甲府駅の駅舎。重厚な構えの大きな建物ですが、内部の乗降客用スペースは出札窓口が1つと自動券売機が1台あるだけでこぢんまりとしています。

開業当時は身延線の前身、富士身延鉄道の本社があった駅で、今は山梨県におけるJR東海の拠点駅として機能しています。

【山梨のレトロな鉄道駅舎③】富士急行・富士急行線の谷村町駅舎

谷村町駅は、都留市の、江戸時代に勝山城の城下町として栄えた谷村地区にあります。

西洋の建築様式を用いた木造平屋の駅舎は、1929( 昭和4)年6月、富士山麓電気鉄道(当時)の開業にあわせて建てられたもの。当時から大きな改修を受けることなく現在に至っており、映画やテレビドラマ、ミュージックビデオのロケ地として使用されたこともあります。

2017(平成29)年10月には、明治時代のレールが柱に使われているプラットホームの上屋とともに、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として、国の有形文化財に登録されています。

富士急行線 谷村町駅

富士急行線 谷村町駅

白色モルタル仕上げの外壁に腰板壁を廻らし、屋根にお洒落なデザインの風向計を載せた谷村町駅の駅舎は、柔らかでメルヘンチックな雰囲気漂う洋風スタイル。

1番線ホームにかかる谷型の屋根「プラットホーム上屋」も、駅舎と一緒に国の有形文化財に登録されています。

『山梨のトリセツ』好評発売中!

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から山梨県を分析!

山梨の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。山梨の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報満載!

Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

『山梨のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  甲信越 > 山梨県 >

この記事に関連するタグ