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琉球染物の起源はいつ?

こうした沖縄の染織品の起源はいつなのでしょうか。『歴代宝案』(1424〜1867年に至るまでの琉球王国の外交文書を記録した史料)などの文献により、中国や東南アジア地域との交易が始まる14世紀、あるいは15世紀頃と考えられていますが、同書に製作工程や流通について細かい記述はなく、定かではありません。ただ中世の琉球では、染織品が対外的な贈答品として珍重され、中国、朝鮮、日本(おもに薩摩)、ジャワ、スマトラ、パレンバン、シャムといった国々と交易をしていく過程で相手国の技法を取り入れ、多種多様に発展していったと考えられています。

琉球染織は貢納布だった

また、1600年代から約300年もの間、織物は貢納布(こうのうふ)、御用布として琉球の税制のなかに組み込まれ(人頭税)、宮古や八重山の女性は税として布を納める義務を課されていました。その生産現場は役人の厳しい監視下におかれ、労働環境は劣悪で過酷だったという伝承が残されていますが、そうしたなかで多くの女性が布を織り続け、技術を磨き上げていったのです。その伝統は今も受け継がれ、各地の工房では布を一反一反ていねいに手作業で織り上げています。そうした布の素朴で繊細な美しさも琉球染織の魅力のひとつでしょう。

琉球染織の代表「紅型」

いっぽう見た目も華やかで、王族の礼服や中国への献上品として用いられた染物、紅型の工房は、王府のあった首里に集まっていました。紅型をつくる職人は紺屋と呼ばれ、首里に住んで王家に保護され、その一門は士族として遇されました。とくに王府御用で紅型を製作した沢岻(たくし)、城間(ぐすくま)、知念(ちねん)の三家は「紅型三宗家」と称され、王族や士族の紅型を制作しました。紅型はもともと着用できる色が階級によって厳格に決められていましたが、その製作工程は、図案を王府の絵師が考え、その後、紺屋が型紙を彫り、布の上に型紙をおいて糊を塗ってから、色差し(下塗り・上塗り)と隈取りを数回行って図柄の立体感を出し、色止めしてから水で糊を洗い流してできあがりとなります。彩色には顔料と植物染料が用いられますが、日差しや高温に強い顔料とやわらかい風合いを出す植物染料を組み合わせることで、耐久性とデザイン性を備えた染織物となります。そしてかつては布が染め上がると、御用の紺屋は型紙を焼却するか、依頼主である王族や士族に返すのがならわしだったといいます。同じ柄の紅型を他人が着ることは許されなかったのです。

特権階級から庶民に至るまで、沖縄で受け継がれてきた多種多様で魅力的な染織物。現代ではファッションとしても取り入れられるなど、新たな伝統としても息づいています。

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Part.1 地図で読み解く沖縄

・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。

Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網

・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道

…などなど沖縄の交通事情を解説。

Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間

・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?

…などなど沖縄の歴史を徹底解説。

Part.4 沖縄で育まれた産業や文化

・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄

…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。

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