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【泡盛の歴史】製造体制:首里三箇のみでつくられ王府が管理

焼酎特区ともいうべき首里三箇でつくられた泡盛は、定められた量を王府へ上納。残りが市場に回され、庶民のもとへ売り出されたのです。こうした統制は、慢性的に米不足だった沖縄にあって、米を原料にする泡盛づくりを管理する必要があったことが理由といわれています。18世紀の沖縄は、度重なる台風被害、広がる疫病により、農作物の収穫量は減少し、王府は焼酎製造の規制をしました。しかし、食料の確保もさることながら、人々の楽しみとして酒もなくてはならないものでした。沖縄各地では密造も横行していたといいます。

「首里三箇」でも焼酎職と認められたのはごくわずか

泡盛製造が許された首里三箇でも、焼酎職と認められたのはわずか40家程度で、しかも製造に失敗すれば島流しになるという、なかなか厳しい環境にありました。こうしたなかで受け継がれてきた泡盛製造の技術は、明治期になってようやく規制が解かれ、自由化したことで、沖縄の焼酎文化として花開くことになります。沖縄各地に泡盛製造所ができ、それぞれ特徴をもつ、多くの泡盛がつくられるようになったのでした。

【泡盛の歴史】原材料:唐米から東南アジア米、現在はタイ米

泡盛は、ほかの焼酎とは違ってその原料も特徴的です。首里三箇の時代は、王府から支給された米を使って製造しており、明治頃までは粟(あわ)も混ぜて製造していました。ちなみに、粟を使っていることから泡盛と呼ばれるようになったという説もありますが、定かではありません。現在は米だけでつくられています。また、使う米もかつては中国の唐米でしたが、明治の末になると唐米の価格が上がったため、ベトナムやミャンマーなど東南アジアの米を使うようになりました。そして大正末期にはタイ米が広まり、現在ではタイ米が泡盛の原料として定着しています。タイ米は、硬質米なので米麹にしたときに作業しやすく、アルコール発酵時の温度管理もしやすいのです。さらにアルコールの取れ高も多く、泡盛製造には最適とされています。

泡盛製造に大事な黒麹。戦火で消滅の危機に!

そして、泡盛づくりで何よりも大事なのが黒麹(こうじ)菌です。黒麹は沖縄固有の菌で、クエン酸をつくったり、雑菌を抑えたりと、泡盛製造には欠かせません。ですが、太平洋戦争後、多くの酒蔵が焼け、黒麹もなくなってしまったと思われました。泡盛消滅の危機でしたが、わずかに残った黒麹が見つかり、戦後の泡盛製造が救われました。沖縄以外でも泡盛がつくられた歴史がありましたが、現在では泡盛は「沖縄泡盛」「本場泡盛」と表示されており、その高い品質が保証されています。

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から沖縄県を分析!

沖縄県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。沖縄の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く沖縄

・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。

Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網

・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道

…などなど沖縄の交通事情を解説。

Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間

・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?

…などなど沖縄の歴史を徹底解説。

Part.4 沖縄で育まれた産業や文化

・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄

…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。

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